この世はレースのようにやわらかい

音楽ネタから始まったのですが、最近は美術、はたまた手芸等、特に制限は設けず細々と続けています。

[http://www.jeudepaume.org/:title=Jeu De Paume]

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メトロでこのポスターが目に留まり、凄く気になったので行ってきました。
ジュ・ド・ポームは、現代写真専門の美術館。見てきたのはリー・ミラージョルディ・コロメールの展覧会。では先に見たジョルディ・コロメールから。

Jordi Colomer

この展覧会で初めて名前を知りました。全くの白紙で見たせいか、段ボールで作られたぺなぺなな建物のミニチュアを担いで、それの実物の前を走り回るというパフォーマンス映像を見た時は、みょーに笑いのツボにはまり、ゲラゲラ笑ってしまった。会場には実際担いだミニチュアも展示されていて、そのあまりのぺなぺなさが、更に笑いを誘うのであった。
他にもメッセージ性の強そうなヴィデオ作品がスクリーンに映し出されているのだが、作者の狙いは言葉が分からないせいで伝わらず....。ちょっと歯がゆかった。
まあ、正直あんまりピンと来なかったのですが、今回の展覧会のカタログを見たら、随分とご立派なハードカバーの体裁をとっていて、結構高かった。えええ実際作品から受ける印象とエラく違うんですが!....。と、こっちのインパクトの方が強かったです。結構重たい本だし、果たしてどれぐらい売れるのやら...。
そういえば、会場に設置されていた椅子のデザインが、1脚1脚違っていて可愛かった。小学校とかで使われていそうな椅子だったんだけど、並べ方がとってもセンス良くて。写真を撮りそこなったのが悔やまれる。

L'Art de Lee Miller

リー・ミラーはアメリカ出身のアーティストだけど、ここパリにおいてマン・レイと出会い、写真家としての活動をスタートさせました。そんな彼女にとって縁のある地で展覧会が見られるとはね。

このポスターにも使われた写真はものすごく挑発的だ。火災用のマスクを被ったモデルを撮った、いわばファッション写真なのだが、写真が撮影されたのは1941年。“戦時下”というキーワードで作り上げられたものであろう。日本では「贅沢は敵だ」というスローガンの下、戦争中は着飾るなどもっての他という表向きの風潮があったのではないかと思うのだが、彼女はこうやって、エレガントなものすら戦意高揚の材料として積極的に利用していたのでは?そんな事を考えさせられる展示内容だった。
実際彼女は第二次大戦中、軍隊に志願して、報道写真を撮る任務に就き、ヴォーグ誌にも戦争の記事を書いていた。最前線の戦争写真を撮っていた女性は彼女のみだったらしい。とことん突き進む人なのである。