フィリップス・コレクション展
“全員巨匠!”って確かにそうだけど、そこは三菱一号館だから、一筋縄ではない。
このチラシは、巨匠別に数ヴァージョン作られているようだ。
三菱一号館美術館では、10月17日から『フィリップス・コレクション展』が始まりました。
フィリップス・コレクションとは、裕福な実業家で、優れた絵画コレクターの家庭に生まれたダンカン・フィリップス(1886-1966)が、1921年に米国ワシントンの私邸を、自身のコレクションを展示する美術館としてオープンさせたもの。
私立美術館ながら、近代絵画を扱う美術館としては米国初。あの、ニューヨーク近代美術館よりも古い歴史を持つ。
ピカソ、マティス、ゴッホ、ゴーギャン等々、19〜20世紀を代表する画家の作品が一気に見られるのがこの展覧会の特徴。
先日行われたブロガー内覧会に招待され、参加してきました。
※画像は主催者の許可を得て撮影しています。
最初はミュージアムショップに案内されて、ここで1/12に再現されたフィリップス・コレクションのミニチュアギャラリーと対面する。
今回の展覧会グッズについて解説する、Store1894運営(株)East代表の開(ひらき) さん。
コレクションは1927年当時、こんな部屋でこんな風に飾られていた。
室内の細部まで忠実に再現されている。
何と、額装込みのミニチュア複製画までもが、展覧会グッズとして販売されている!
ミニチュアハウス(ドールハウス)をお持ちの方なら、そこに飾って楽しめます。
こんなグッズ、初めて見ましたわ。
限定品のようなので、お求めになりたい方はお早めに。
どうやらこの展覧会は、絵画そのものを読み解くのが主旨ではなく、絵画をどう楽しむかがテーマになっているようなのだ。
ギャラリートークでは、一号館学芸員の安井さんと、ナビゲーターのTakさんが登場。
残念ながら高橋館長は欠席。
ここでは、この企画が開催されるまでの数々の紆余曲折話が語られましたが、その中で最も耳目を集めたエピソードは、ギャラリートークが行われた展示室に掛けられているピエール・ボナールとパウル・クレーの配置順に、フィリップス・コレクション館長のコシンスキーさんがダメ出しした辺りじゃなかったかな。
とりあえずこの配置で落ち着いたと確かめ合っている両氏。
通常のコレクション展では、例えば画家ごととか、年代ごととか、テーマごととか、見ている人が理解しやすいように展示するものなんだけど、館長さんはそういうグルーピングの全てにNGを出したそうなのだ。
『もっと展示をエンジョイしましょう』って、おいおい、それって却って難しい要求じゃないか?
もしかしてあれか?『Don,'t think. Feel !』(考えるな。感じるんだ!) Byブルース・リー
しかしそれじゃあ余りにも雲をつかむような話なので、今回はフィリップスさんの購入順に展示するという案で、コシンスキーさんの了承を得たようです。
作品の横には購入年も明記されています。
そんなわけでこの展覧会では、ボナールの作品なんかは特に、あちこちの展示室にバラけて登場します。ボナールがお気に入りだったのね、フィリップスさん。
現在国立新美術館でもボナール展が開催されているので、ハシゴして見るのもいいかもしれません。
画面右下で、猫が女性とニクキュウハイタッチする図が受けていたボナールの作品。
購入順という事なので、モディリアーニとアングルが隣通しに並んでいたりして意表をつく。
こんな感じで、時代が進むに連れて、コレクションの好みが変わり、部屋の雰囲気がスッキリしていくのが面白い。
19〜20世紀は世界情勢も激動の時代だったけど、こうして会場でフィリップスさんが集めた名画を見るだけでも、その流れが体感出来るっていうのが凄い。
フィリップス・コレクションは1918年に創設、1921年に開館したという事で、自分なんかは1913年にアメリカ各地で開催された、キュビズム以降のモダン・アートを展観するアーモリー・ショーが創設のきっかけになったのかなと思ったんだけど、フィリップス自身は最初、アーモリー・ショーには批判的だったみたいで、ちょっと意外だった。
それでも、蒐集家としてのキャリアを重ねるに連れて目が肥えてきて、当時のコンテンポラリー・アートを即座に購入するようになったというところが、変に尖ったコレクター気質ぽくなくてなんかいいなと思った。
そうそう、今回はポストカードの種類がハンパない。なんと64種類!
今回は、『あれがポストカードになってない!』という事態にはならないです。たぶん。
あと、全64枚がセットになったパックも、特別価格で限定販売中。チェックしてみてね。