この世はレースのようにやわらかい

音楽ネタから始まったのですが、最近は美術、はたまた手芸等、特に制限は設けず細々と続けています。

[http://poche.with.mepage.jp/motai/:title=茂田井武]展 @ [http://www.chihiro.jp/tokyo/:title=ちひろ美術館]

フランスから帰って来て最初に見に行った展覧会。
茂田井武展は今までも開催されていたと思うんですが、実際見に行ったのは初めて。
今年は生誕100年という事で、展示作品の充実度はかなりのものだったんじゃないでしょうか。会場はこじんまりとしているのに、全部見終わるのにえらく時間がかかりました。密度が濃かったです。会場に備え付けてある絵本、画集のほぼ全てに目を通したので帰りはフラフラ…。

茂田井さんは1930年から約3年間、ヨーロッパ放浪の旅に出ていて、パリには仕事をしながら最も長い期間滞在していたようです。そんな若き日の作品には当時のパリの様子が生き生きと描かれていました。あーこの時代のパリにも憧れるんだよなぁ。もしかしたら茂田井さんはリー・ミラーとかシュールレアリスト達と、パリの片隅ですれ違ってたかもしれない。なーんて想像してみたりもして。作品からはそんな気配など全く感じないのですが、こちらの、

にも書かれているように、この人、人生の要所要所で著名な方々と出会っているようで。何よりも、リー・ミラーと、パリに滞在した時期がほぼ重なっているというだけでも凄い。


千夜千冊の所でも取り上げられているけれども、『宝船』という作品は素晴らしかった。モノトーンのグラデーションがとても美しい。少年時代の失われてしまった風景を丹念に描き出しているのだが、その時の空気感までをも忠実に再現しているような、そんな絵だった。


それから、絵物語ものでかなり凄かったのが『三百六十五日の珍旅行』という作品。まともに読んでいると段々頭がヘンになってきます。
これはこの『茂田井武画集 1946→1948』のみで入手可能な作品。た、高い...。でも展覧会の開催中は特別にバラ売りも可能になっていました。が、行った時はやはり品切れ中。そんなもんだよねぇ....。
茂田井武画集 1946→1948