メスキータ
東京ステーションギャラリー - TOKYO STATION GALLERY -
メスキータ展、ようやっと見てきた。
『メスキータ』。このインパクトのある名前。そして、この鋭くくっきりとしたコントラストの作品達が、何故今の今までこのような形で紹介されなかったのかが、謎!!
という思いで、会場内ではずっと作品を見ていた。
あ、でも『メスキータ』ってコルドバにあるモスクの名称でもあるのね。
サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ(1868ー1944)は、ユダヤ系オランダ人で、アムステルダムに生まれた。
19世紀末〜20世紀初頭にかけて、画家、版画家、デザイナーとして活躍し、美術学校で教鞭もとっていた。彼に学んだ弟子の一人がM.C.エッシャー。
ユダヤ人であった彼は、1944年のはじめに、ゲシュタポによって逮捕され、家族もろとも収容所に送られ、ほどなくしてアウシュヴィッツで亡くなった。
アトリエに残された彼の膨大な作品は、エッシャー等によって命懸けで守られたのだ。
展示室の最初の方で、1980年に開催されたというメスキータ展のポスターが展示されていた。
この展覧会は、ドイツ人の個人コレクターが所蔵している作品を中心に展示しているのだけど、このコレクターの最初にメスキータに出会ったきっかけが、1980年の展覧会だったそうだ。
自分なんかは、『1980年』という年に敏感なので、過剰に反応してしまうのだが、やっぱり80年代初頭って、こういう20世紀はじめ頃の作品が、凄く斬新に見えたのだ。という時代解釈?が、これを見て裏付けられたように思えた。
あと、『ウェンディンゲン』!
この建築雑誌にメスキータが特集されていた事を、今回初めて知った。
ウェンディンゲンは、日本語でいうと「変転」。1918年に創刊されたオランダの雑誌で、1931年まで続いた。建築雑誌とは言っても特集テーマの幅は広く、芸術一般の他に鉱物写真、航空写真等も取り上げていたそうだ。
発行期間は10年余と割合に短い。月刊誌とはいえ、その多くは合併号。そんな中で、メスキータは2度も特集が組まれていた。
この時代のオランダで、高く評価されていた人物だったのだ。
この雑誌はどれも、痺れるようなグラフィックセンスで、今回複数冊が一気に見られたのは収穫だった!
東京ステーションギャラリーのメスキータ展は18日(日)まで。
これは『なつぞら』効果だな。いやー楽しみです。