ゴッホ展 巡りゆく日本の夢
去年10月の札幌旅行時から懸案だったゴッホ展を、ようやく見てきた。
金曜日の夜間開館時に行ったので、混雑はしていたけど、割とストレスなく見る事が出来た。
ちなみに、日曜日に上野を再訪した時はこう。
50分待ちだった。まあ、この日は天気も良かったしね。
この展覧会のテーマは、『ゴッホ日本好き好き! 日本人ゴッホ好き好き!』なんだけど、ゴッホが起立工商会社の看板の裏に描いた『三冊の小説』を見た時は、何となくセーヘルスが描いた本の絵を思い出しちゃったし、その近くにあった『エゾギク、サルビアを生けた花瓶』なんかは、漆絵の影響というよりも、ブリューゲルといったオランダ寄りの絵画を思い起こさせたりもした。ゴッホは浮世絵に影響されたとは言っても、オランダベースの画家なんだろうなというのが、このように浮世絵と並べて展示する事で却って強調されたのではないかと。
それでも、こうしてゴッホ作品をまとめて見ると、やっぱり色使いが独特で、感覚が並じゃないというのは、そんなにゴッホに対する思い入れが強くない自分でも分かった。
途中、参考作品として幻の風景画を復元した絵が展示されていて、やけに描きたての生々しさを感じたのだが、もしかするとゴッホ作品も、描かれた当初はあのぐらい色がどぎつかったのかもしれない。
日本人のファン・ゴッホ巡礼
展示室の後半以降は、ゴッホの死後に、終焉の地であるパリ近郊のオーヴェールを訪れた日本人達の足跡が紹介されていた。
ここで自分の目を惹いたのは、式場隆三郎の存在だった。
式場隆三郎といえば、『ニ笑亭綺譚』の印象が強過ぎて、日本のゴッホ研究の第一人者だった事はよく知らなかった。
ゴッホの晩年に親しく交友していたポール・ルイ・ガシェと文通を交わし、戦後日本でのゴッホ展を実現させようと尽力していたのだ。
そんな式場隆三郎の書簡や著書が、ゴッホの作品と共に展示される日がやって来ようとは、本人これっぽっちも想像していなかったんじゃないか。
展示後半の内容は、どちらかというともっとこじんまりとした展覧会で扱われる感じのもので、要はマニアック。わたしにとってはかなり面白かったんだけど、ゴッホだから見に来たっていう人達にとってはどうだったんだろう?
なんて、わたしが気にする事でもないのか。
ゴッホ展、次は京都に巡回。まだまだ続くよ〜。