吉祥寺のモダニスト 小畠辰之助 展
小畠辰之助(1892-1977)は、吉祥寺を拠点に活動していた洋画家で、妻は日本画家の小畠鼎子。
ここの美術館ではかつて小畠鼎子の展覧会も開催していたようだが、それは未見。ミュージアムショップで作品のポストカードなどを見たら、とても鮮やかな色調の絵でなかなか良かった。
小畠辰之助の展覧会は今回が初めてのようだ。
今まではメディアにもほとんど取り上げられた事がなかったようなので、自分も今回はじめて知った。
どうも、描いた作品を知人などに気前よく上げてしまっていたみたいだ。
品のある、穿った見方をすればよそ行きのような、そんな素敵な風景画や静物画が数多く展示されていた。
いや、鑑賞するとホッと落ち着くような、ずっと部屋の中に飾っておきたくなる作品を描いていて、素直にいいなと思った。
が、1958~59年に描かれた2点の『蛾』の絵。それと『蝶』の絵が異質だった。
吉祥寺美術館にて、小畠辰之助展。これまで知られざる存在だった「吉祥寺のモダニスト」を紹介する。蛾を描いた作品は、本物の蛾かと見紛うリアルなもので見入ってしまう。画像は「蛾」(1959年)「蛾」(1958年)「蝶」「蝶」(制作年不詳)。 pic.twitter.com/No6eBT2GoO
— Ryuugoku (@Ryuugoku) 2015, 1月 15
草藁などを使って立体作品のように仕上げている。
これが見られただけでも収穫だった。さすがにこれは人に上げるのをためらったのではないかな。
自分の中のドロドロな部分に向き合ってこの作品が生まれたような印象。これがある事によって、他の作品の見方もちょっと変わってきた。もっと内面をえぐった作品も描いていたんじゃないのかな?
と、キャッチコピーの『モダニスト』とはちょっと違った印象を持った展覧会だった。