この世はレースのようにやわらかい

音楽ネタから始まったのですが、最近は美術、はたまた手芸等、特に制限は設けず細々と続けています。

あしたのジョー、の時代 展

チケットの半券が、
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こうなる。
「立て!立つんだジョー!」
 

@練馬区立美術館

 
このところ、練馬区立美術館に足繁く通っている。
この前開催していた『練馬区立美術館コレクション展』も見た。
この時に、次回の企画展であるあしたのジョー、の時代展』のチラシを貰ったのだが、そこに書かれている解説を読んだら、
 
「このコレクション展って、あしたのジョー展の前哨戦みたいな位置付けなんじゃないか?」
 
と、思わずにはいられないラインナップだった。
この美術館が所蔵する、1955-70年にかけての日本絵画から特に社会性の高い作品を展示していて、見応えがあった。
大沢昌助のふっとい輪郭線をした人物画。
中村宏の、同じくくろぐろとした輪郭線の不穏な絵。
かなり、あしたのジョーのタッチを意識した、強い絵が並んでいた。
ひさびさに牧野邦夫の作品にもお目にかかれたし。おお、しっかり所蔵していたのね。
 
あしたのジョーはまともに読んだこともないし、アニメも全く熱心に見てなかったんだけど、全体的な展示が面白そうなので、見に行った。
 
あしたのジョー、の時代展』の展示は、以下の4部構成になっていた。
 
  1. あしたのジョー、の世界
  2. あしたのジョー、の時代
  3. あしたのジョー、肉体の叛乱
  4. あしたのジョー、あしたはどっちだ
 
2F入口の展示室1では、連載第1回目の原画から始まり、あしたのジョーが表紙を飾った週刊少年マガジンや、TVアニメやボクシングジムのジオラマや実写版映画ポスター等、あしたのジョーをこよなく愛するファン向けのアイテムでガッチリ固められていた。
 
 
階段を上って展示室2に入ると、あしたのジョー連載当時に流行っていた懐かしいCMが流れていた。
これ、現在の画面比率で映してたんだけど、画面上部が切れちゃってて残念だった。ブラウン管で流して欲しかったぞ。画面四隅も丸くしなければ。
 
ここは当時の社会世相や、当時流行っていたフォークソングのレコジャケや、芸術作品等を展示。
ボクシングをこよなく愛した寺山修司の、当時の活動も紹介。
何と、当時寺山修司力石徹の告別式まで企画実行していて、会場には祭壇まで飾られている。
告別式も再現予定だそう。
 
あと、ここには当時発売されていた関連グッズも展示していたんだけど、その保存状態の良さに驚く。当時の値札がついたままになっているのもあった。
 
 
展示室3では土方巽の『肉体の叛乱』が上映されていた。
去年のベーコン展でも、土方巽の踊りを見ることが出来た。
ベーコン繋がりの視点で見ると、『肉体の叛乱』も、冒頭の台車に乗って土方巽が運ばれるシーンなんて、まるで『戦艦ポチョムキン』に出て来た乳母車に見えてくるから不思議だ。
最後の方で、ロープに手足を繋がれて、宙吊りで運ばれる所なんかも、ベーコンの三幅対の構図を連想させるし。
とはいっても、この公演の美術担当は中西夏之だったりする。
 
『肉体の叛乱』というタイトルと、装着した黄金色のペニスのせいか、スキャンダラスなパフォーマンスをイメージするが、土方巽の動きは舞踏というよりも舞踊だった。
それは、BGMがクラシックバレエで使われる音楽だったせいもある。
実際は、2台のピアノの演奏に合わせて踊っていたようだ。
 
 
第4章では各界のクリエイター達によるあしたのジョーのオマージュ作品を展示。
及川正通小保方晴子さんを描いていた!
しりあがり寿の作品がピンで別室扱い。パロディぽいジョーと力石徹との対決シーンを壁に投影。
これがなんだか見世物小屋みたいで脱力感あり。ガス抜き効果があったかも。
 
 
展覧会を見終わった後、たまたま、昭和の時代にボクシング生活を送っていた方にお会いしたので、その方にこの展覧会のチラシを見せたら、
 
「お、あしたのジョーだね。オレ、昔梶原一騎に1回だけ会ったことがあるだけど、イヤなやつだったね~!」
 
から始まり、それからしばらくずっと、あしたのジョーについて、というより梶原一騎について、いかにこの人の原作が色んな映画や文学からパクって書かれていたのかとか、クロスカウンターを誤って世間に広めたとか、ほとんど悪口を熱弁。
聞いてるこっちはいきなりカウンターパンチを食らった気分でした。
やっぱりあの時代は熱かったな~