ソール・スタインバーグ シニカルな現実世界の変換の試み
ギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催中の、ソール・スタインバーグ展を見てきた。
最初に展覧会情報を目にした時、このポストカードの絵柄がパッと頭に浮かんだ。
このポストカードを手に入れたのは確か、上京して初めて訪れた(昭和の時代だ!)、今はなき青山同潤会アパート内にあったギャラリーでだった。
そこでポストカードを購入した際に、ギャラリーの方がオマケとして更に数枚渡してくれたうちの1枚だったのだ。
他にどんなカードを選んでくれたのか、今となっては覚えていないのだが、この1枚だけはハッキリ覚えている。
このカードには“STEINBERG”と作者の名前しか書かれおらず、裏面は白紙なので、この絵は何なんだろう?と、ずっと謎だった。
謎を解明することもなく数十年の月日が経ち、今年になっていきなり“ソール・スタインバーグ”という、見覚えのある名前と絵柄が目の前に飛び込んできた。
ああ、ようやっと分かったよ。しかし、藤子不二雄や柳原良平、和田誠など、多くの作家達に影響を与えたという偉大なイラストレーターなのに、何で今までちゃんと知る機会が無かったんだろう?
その理由を一つ挙げるならば、本展覧会が日本では初となる本格的な個展だからか。
館内は撮影OKだった。
ポストカードの絵もあった!
『デリエール・ル・ミノワール』という、オリジナルリトグラフ作品集の1953年版に入っている作品のようだ。
実物が見られて、感無量だった。
スタインバーグの作品は、このカウボーイの絵が語っているように、一つの絵から入れ子のように、様々なイメージが脳内をガーッと駆け巡る構成になっていて、ずーっと見ていたい衝動に駆られる。見ごたえがあった。
3/12(土)まで開催中。