この世はレースのようにやわらかい

音楽ネタから始まったのですが、最近は美術、はたまた手芸等、特に制限は設けず細々と続けています。

ボテロ展 ふくよかな魔法

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Bunkamuraザ・ミュージアムでは現在、フェルナンド・ボテロ(1932〜)の展覧会が開催中です。

日本でこれだけの大規模な展覧会が行われるのは、実に26年ぶり!

 

先日、特別内覧会に参加してきました。

ボテロの展覧会を見るのは、今回が初めてです。

 

※画像は本展主催者の許可を得て撮影をしています。

 

ボテロといえば、何でもボッテボテに描く画家。これは名画のパロディ?素朴画?

というイメージが、自分の中ではありました。

 

最初にボテロの作品を知ったのは、日本初の展覧会が開催された1981年のこと。

物でも人物でも、何でもこねくり回す当時の風潮と、ボテロの太っちょ作品とは、妙に波長が合っていたような記憶があります。

 

しかし、今回の展覧会を見ると、ボテロの描くかたちには、パロディという風刺のメッセージなど、少しもにじませていなかったのが分かります。

厳格に、モティーフを膨張させて、それを強調するためにディテールを小さく描いています。更に、いらないものは省略しています。

画面構成と色彩は明快で、見ていてとても気持ちが良いです。

絵の前に佇むと、号数の大きさにも納得がいきます。

 

『デフォルメに思想がある。』

 

それを体感した展覧会でしたよ。

視覚と触覚が、平面作品なのに刺激される、不思議な体験でした。


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写真が暗いですが、ギャラリートークの様子です。

作品の大きさが分かるでしょうか?


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展覧会の構成は、初期作品から始まり、


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静物


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信仰の世界ヘと続きます。


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余談ですが、この顔立ちを見ていたら、

小林亜星

の名前が思い浮かびました。

確か、小林亜星とボテロは同い年だったはずです。


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ラテンアメリカの世界。


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これは、バルテュスの作品がベースになってますね。

南米コロンビア出身のボテロ。

自らのルーツをテーマに、いきいきと描いています。


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ドローイングと水彩。

近年に描かれたもの。

これがなんとも心地良い。

これを見ているうちに、何故か藤田嗣治のドローイングを思い出しました。

ラテンアメリカを描いているところなど、フジタとボテロは、何処かに繋がりがあるのかもしれません。

フジタの5回結婚には及びませんが、ボテロも今のところ3回結婚しています。


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サーカス。

この重量感のあるボディが、宙を駆け巡る!

 

変容する名画。

やはり、このエリアが1番受けました。


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こ、これはクラーナハ!?


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スペイン王マルガリータ

身につけているもの全てに、キルト芯が入っているように見えます。


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アルノルフィーニ夫妻!

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被っている帽子はふっくらと、より巨大化されています。


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幼少のエドワード6世

顔の輪郭に対して、目鼻口は中央にキュッとまとまっています。

もしボテロがマスク顔を描いたら、マスクはちんまりと小さく描くのでしょうか?

 

ここではずっと、ボテロボテロと気安く名前を呼んでいますが、現存の画家でピカソのように、短い名前だけで、その人の作品がパッと頭に浮かぶ人って、ボテロぐらいでは?

巨匠らしい巨匠。改めてそんな印象を持った展覧会でした。

 

今回この記事でプッシュしたい企画があります。それは、

5月中の金・土曜日の17時以降は、展示室内の全作品の写真撮影が可能になる!

という事です。

この先の対象日:5月20日(金)、21日(土)、27日(金)、28日(土)

時間:17時~21時(閉館)まで

 

作品撮影も良し、御自身を入れての撮影も良し。

展示室内は普通に照明も明るいですし、それに、ボテロの作品をカメラに収めていると、だんだんと気分がウキウキしてくるんですよね。

あまり明るくはないご時世の昨今ですが、ここでひとときのほんわか気分をぜひ味わって下さい。


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怒涛のグッズ展開!


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図録も、角が丸くなっていて、手に取るとフカフカです。

 

気になる方は是非チェックして下さい。

なお、Bunkamuraではボテロのドキュメンタリー映画も同時上映しています。

映画『フェルナンド・ボテロ 豊満な人生』公式サイト

 

開催概要