俵有作展 - 水墨の波動 -
正月三ヶ日は過ぎてしまいましたが、本年もよろしくお願いいたします。
今年最初に見に行ったのはこの展覧会。
何と無料だった。
俵有作(1932-2004)は、日本の古民具、古玩具を収集、研究していた方だったようだが、わたしはこの展覧会で初めて知った。
もともと絵を描いていたのだが、民芸研究のために中断し、ふたたび筆を握るようになったのは50代になってからだそうだ。
わたしなんかはこの辺に惹かれたので、展覧会に足を運んだ。
実際に作品を見ると、作品として描いてなくても、断続的に筆は動かしていたんだろうな。と、思わせるものがあった。
同じパターンを繰り返す連続性は、一朝一夕で確立するとは思えないし。
でも、何だろう?水墨画というアナログ極まりない画材で描いているのに、どうにもデジタルのチラチラした、動きのある画面に見えて仕方がなかった。
制作年が2010年と、没後の年代が書かれている掛軸なんかがしれっと展示されていて笑っちゃったのだが、これはのちに作品を拡大して、インクジェットで打ち出したという作品だった。
作品制作を再開してからは、1日10枚描くのを自らに課していたという。デイリーペインティング。連続性。継続性。続ける行為は、自らの肉体が滅んでも、止まる事はないのかも。
作品自体は書であり、絵でありと、見る側に解釈を委ねられている。
わかりにくい面白さという魅力が充分に発揮されていて、見ているうちにワクワクしてきた。
和紙で作られたファイルブックは、たぶん本人のオリジナルなんだろうな。あれ、手に取って見たかった。
バルテュスとも交流があったらしい。
展示数はそれ程多くなかったけど、なかなか面白かったです。2月8日(日)まで。