ラウリー展と、彼に影響を与えた画家。(1)
現在ロンドンのテートブリテンでは、『Lowry and the Painting of Modern Life』という、ラウリーの回顧展が開催されている。(10/20迄)
これ、もっと早い時期に知っていたら、ロンドンまで観に行ってたかも。残念ながら知ったのは最近の話なので、潔く行くのは諦めました。
渡英するのを諦めた大きな理由は、マンチェスターのThe Lowryで同時開催している『Unseen Lowry: Paintings and Drawings from LS Lowry’s Home』という企画展が9/29迄だったからです。寧ろこちらを観たかった!
その代わりと言っては難だけど、テートのサイトを見たら、展覧会の音声ガイドとしても利用出来るアプリがリリースされているので、それを入手して、行った気分だけでも味わう事にしました。
解説を聴いてみたら、Lowryは“ラウリー”の方が発音に近いと思ったので、これからはラウリー表記で行きます。
展覧会には、ラウリーに影響を与えた画家の作品も参考展示されているようです。
そこで紹介されている作品に、意外なまでに心惹かれるものがあったので、今回はそれを取り上げてみます。
フィンセント・ファン・ゴッホ (1853-1890)
Outskirts of Paris (1886)
これが参考展示作品のうちの一枚。
ゴッホといえば強い色調の作品が先ず思い浮かぶのだが、この絵はモノトーンに近い。
最初に見た時はラウリーの絵かと思った。
ゴッホは短かい画家人生の中で、目まぐるしく色んなスタイルを模索していたのだが、このように「郊外」に着目した作品を描いていたとは知らなかった。
確かに、郊外の風景画は幾つか見た覚えがある。でもそれは木々が生い茂った田園風景のようなものだ。
On the Outskirts of Paris (1887)
参考として挙げてみた。これは、ほぼ同タイトルの作品。
上の作品と受ける印象が違う。これは普通の風景画の印象だ。
上の作品は、パリ中心部から郊外への、いわば“つなぎ”の部分のようだ。ここは、それまでの画家はほとんど描いていなかったエリアではないかと思ったのだ。
この時期、ゴッホは既にこうした、再開発で抜け殻になったような地域を見つめていたのではないか。
パリの外国人だったからこそ、見い出せたのかもしれない。
これは単なる自分の思いつきなので、間違っているかもしれないのですが…。
この視点は、ラウリーにも間違いなく引き継がれていると思う。
もう一人の画家は、次回に。