この世はレースのようにやわらかい

音楽ネタから始まったのですが、最近は美術、はたまた手芸等、特に制限は設けず細々と続けています。

1894 Visions ルドン、ロートレック展


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オディロン・ルドン『グラン・ブーケ(大きな花束)』の部分。


三菱一号館美術館では現在、開館10周年を記念した、『1894 Visions ルドン、ロートレック展』が開催中です。

前期展示は11月23日までで終了。現在は後期展示です。

後期展示開始日に行われた、夜間ブロガー内覧会に招待されたので、参加してきました。

 

※画像は主催者からの許可を得て撮影したものです。

 

ルドン、ロートレックだけではありません。

本展覧会のタイトルに登場する「1894年」は、丸の内初のオフィスビルである三菱一号館が竣工した年です。

この時代前後のパリと日本で、どんな画家が活躍していたのか?

そこにターゲットを当てて、美術館コレクションの中核をなす、この2人の作品を中心に据え、同時代の画家達を紹介する展示になっています。

 

いわゆる世紀末と呼ばれる19世紀末期のフランスは、それまで主流だったアカデミーの枠組を超えた、新たな表現が台頭してきた時期でもありました。

1870年代に登場した印象派を経て、ルドンは絵画に心の奥底にある心象風景を映し出し、ロートレックはポスターや書物といった印刷物を、芸術の領域に高めました。


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ルドンの幻想的な絵画は、後のナビ派の画家達にも大きな影響を与えました。


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アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック『アリスティド・ブリュアン』

これは、作品の大きさに改めて驚きました。


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館内の一番広いスペースは、まるでパリの路地裏のようです。


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手前に展示されているのはゴーギャンの版画作品です。

これを所蔵しているのは岐阜県美術館です。

本展覧会は、世界有数のルドン・コレクションを誇る岐阜県美術館との共同企画になっています。

 

奥の部屋に進んでいくと、岐阜県美術館のお宝と言ってもいいコレクションにお目にかかれます。


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山本芳翠の『裸婦』と『浦島』。

凄い迫力です。艷やかな絵肌にウットリしちゃいました。


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藤島武二の『浴室の女』『書見する女』と、梅原龍三郎『読書』。

彼らは、時期はずれますが、パリ留学組です。

 

三菱一号館のコレクションを中心に展示するという事は、以前ここで開催した展覧会を復習してみようというのも、裏のテーマになっているのかなと思いました。

例えば梅原龍三郎展だったら、


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ルノアールのこの絵も展示されていたな、とか。

(今確認したら、その時展示されていたのは、梅原龍三郎ヴァージョンの『パリスの審判』でした。記憶がすり替わっている…。)

 

もちろんヴァロットン作品も展示されているから、それを見てヴァロットン展の事を思い出したりとか。

このようにして思い出した展覧会は、全て『世紀末』というキーワードで繋がっていたのだな。という事に改めて気付かされました。

そして、岐阜県美術館のコレクションは凄い!という事にも気付かされました。

わざわざ岐阜県に行かなくても見る事が出来て、とてもありがたいです。


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世紀末を生きたプルーストの言葉も引用されています。

これだけ変化が大きい時代だったという事が、よく分ります。


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当初、本展覧会ではソフィ・カルの作品も展示される予定でしたが、コロナ渦の影響で中止になってしまいました。

こうなってしまう程、現代の世の中も変化が著しいのです。

会場にはソフィ・カルの直筆メッセージが飾られていていました。

これによると、4年後にここで展覧会をしましょう、というオファーがあったようです。

4年後か…。まだまだ先だけど、楽しみに待ちます。

 

素晴らしい展覧会でした。おすすめします。

お出かけの際はマスク着用の上、感染防止対策を十分にしましょう。

 

開催概要
  • 会期:2020年10月24日(土)〜2021年1月17日(日)
  • 休館日:月曜日と展示替えの11月24日(火)、25日(水)、年末年始の12月31日(木)、2021年1月1日(金) ※日曜日が祝日の場合と、10月26日(月)、11月30日(月)、12月28日(月)、2021年1月4日(月)は開館
  • 開館時間:10時〜18時(祝日を除く金曜と会期最終週平日、第2水曜日は21時まで。※入館は閉館の30分前まで
  • 入館料:一般2000円、高校・大学生1000円、小・中学生は無料。※毎月第2水曜日17時以降に限り1200円
  • 公式サイト:開館10周年記念 1894 Visions ルドン、ロートレック展|三菱一号館美術館(東京・丸の内)