この世はレースのようにやわらかい

音楽ネタから始まったのですが、最近は美術、はたまた手芸等、特に制限は設けず細々と続けています。

デヴェンドラ・バンハート

自分のアルバムジャケットに自作の絵を掲げて異彩を放つ人も枚挙にいとまがないんですけど、中でもこの人の絵はやばいです。


とりあえず自身のアートワークが使われているジャケットを並べてみる。


Oh Me Oh My Rejoicing in the Hands Nino Rojo スモーキー・ロールズ・ダウン・サンダー・キャニオン ホワット・ウィル・ウィー・ビー Black Babies Little Yellow Spider
※「The Golden Apples Of The Sun」は画像がなかったので貼り付けず。


彼の絵は以前、サンフランシスコ近代美術館でパウル・クレーの絵と一緒に展示された事もあるという。
クレーの作品もそうだけど、デヴェンドラさんの作品も、ブックレットのアートワークが顕著なように、空白を埋め尽くすタイプの絵を描いていたりする。


サマソニで初ライヴを見て以来、相変わらずアルバム1枚しかまともに聴いておらず、あとはあちこちで拾い聴きしているというどうしようもない体たらくなんですが、先日の単独公演を見てきました。


@代官山UNIT 2月5日(金)

サマソニのビーチステージで見た印象が強いので、このクソ寒い季節にデヴェンドラさんのライヴを見るのは何だか違和感が。
実際、ステージに現れたメンバー達はこざっぱりとした服装で、あんまりフリーキーなイメージじゃない。前の時に連れて来ていた変なダンサーもいないしさ。
デヴェンドラさん、頭小さいです。全身のバランスが絶妙だわ。


ライヴはコミカルなショウっぽい演奏もあれば、アコギ一本の弾き語り。そしてジョニー・サンダースロキシー・ミュージックのカヴァー。更に追悼浅川マキにヘヴィーロックと、目まぐるしい展開。
フリーフォークというのは、混沌こそが秩序というのが前提になっているのか?ライヴを断片毎に思い出してみると、一つのバンドが2時間程で奏でた演奏とは思えなくなって来る。
あ、最近ではオーガニック・サウンドと呼ばれているのか。環境に優しい。使えそうなサウンドをリユースして、パッチワークのように貼り合わせる。リサイクルだ。リードヴォーカルも全員がとる。そういえばサマソニの時は観客までステージに上げて歌わせてたな。「ゴロゴロしよう〜」だっけ?あれは面白かった(笑)。
デヴェンドラさんも、エレキからキーボード、アコギにベース、はたまたポケットから取り出したミニマラカスと、器用に楽器をスイッチしていた。驚愕!更にはあんな絵も描きやがるし…ブツブツ……。
それが、全てあの細くて長い指から生み出されているのだ。歌に専念する時は妖しく舞うあの指で。
しかしまあ、1番この人の音楽を特徴付けているのは彼の声だろう。中性的で、ちょっとささくれ立っているけれども温かい。この声が生かされるのは、やはりカラカラと乾いた音のアコースティックギターを奏でた時だと、ライヴを見て改めて思った。
あと、一曲一曲終った後に言う「ども〜」がツボ。挨拶といえばギターの人が言った「どうもありがとうございましたー」が余りにも流暢だった。キミは日本人か?



まるで憑依したかのようなパフォーマンス。こっちのデヴェンドラさんも見てみたかった。(だってワンピースよワンピース!)
これは昔の女性シンガーの楽曲をカヴァーした時の映像。今回、浅川マキの名前が彼の口から出て来た時も、あんまり意外には感じなかった。どうも時系列がバカになっているような。
とにかく、面白いライヴでしたわ。