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この世はレースのようにやわらかい

音楽ネタから始まったのですが、最近は美術、はたまた手芸等、特に制限は設けず細々と続けています。

オルセーのナビ派展:美の預言者たち — ささやきとざわめき

オルセーのナビ派展:美の預言者たち ―ささやきとざわめき|三菱一号館美術館(東京・丸の内)

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先日、『青い日記帳×オルセーのナビ派展、ブロガー・特別内覧会』に参加する事が出来たので、その時のレポート等を紹介します。

この日は雪がちらついていて寒かった。

 

最初、駅構内等に貼られているこの展覧会の告知ポスターを見た時、「わー可愛い!」と先ず思った。

そっか、ナビ派って可愛かったんだ。え、でも何か違うような…。

そもそも、『ナビ派』って印象派以降の絵画史に必ず登場してくるキーワードで馴染みはあるつもりだったんだけど、実際はよく分かっていなかった。

ナビ派とは、19世紀末のパリで、ゴーガンからの影響で結成された、若き前衛的芸術集団の名称で、「ナビ」とはヘブライ語で「預言者」を意味する。代表的な画家には、ボナール、ドニ、ヴュイヤール、セリュジェ、ランソン。そして3年前にここで展覧会が開催されたヴァロットンもその1人に数えられる、とのこと。

この展覧会は、日本で本格的にナビ派を紹介する、初の試みだそうです。

 

※画像は主催者様の許可を得て撮影しました。

 

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 高橋明也館長と青い日記帳のTakさんによるギャラリートークでも、やはり「可愛い」というキーワードが登場した。

どうやら、可愛いものに敏感な人達にもこの展覧会をアッピールさせたいようだ。

実際、グッズ売場に足を運んでみると、一足先に春が来たかのような色彩の華やかさに包まれていて、わたしですらグッズが欲しくなってしまう程、気分がぱあっと明るくなった。

 

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写真が下手なので雰囲気は伝わりませんが、綺麗な色の商品がいっぱい並んでいた。黄色いTシャツがいいなぁ~。買わなかったけど。

 

ギャラリートークによると、オルセー美術館でも元々ナビ派の作品は隅の暗い展示室に追いやられていて、殆ど注目を浴びていなかったのだが、2008年に館長に就任したコジュヴァル氏がナビ派研究の第一人者だったので、それによって世界のナビ派コレクションが一気にオルセーに集結する事になったらしい。そこから再評価の機運が高まっているところなのだ。

コジュヴァル館長と高橋館長は古くからのお知り合いだそうで、それで三菱一号館美術館にはナビ派のコレクションが充実しているのだなと納得した。

でも、ナビ派の作品はここだけじゃなくて、国立西洋美術館の常設展示室に行くと見られる確率が高い。実際、この前クラーナハ展に行った時も、常設展示室でドニの素描コレクションを見て来たばかりだ。

ナビ派の人達はジャポニスムの影響を強く受けているし、実際、ドニのように直接日本人と交流した人もいる。日本との結び付きは強いのだ。

平面的でマットな質感の作品が多いナビ派の絵は、印象派絵画よりも日本人の感性に馴染むのではないかと、高橋館長は仰っていました。

 

「可愛い」だけでは済まされないナビ派の世界。

ゴーガンから影響を受けた作品が並ぶ第1展示室を抜けて、「庭の女性たち」と題された第2展示室に入ると、ラファエル前派を思わせる象徴主義的雰囲気が漂う。そうそうナビ派ってこういう文脈の中に登場する名称だった。

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アリスティード・マイヨール「女性の横顔」(c1896)

わーこれ、いつか本物を見たいと思っていた絵のひとつだった。どこで最初に画像を見たかは思い出せないんだけど。ここでお目にかかれるとは。感激!

 

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ケル=グザヴィエ・ルーセル「テラス」(c1892)

これは…、テラスと題されていなければ、路上に寝そべっているホームレスの女性に見えなくもない。と突っ込んだ後で言うのもアレですが、心に残る絵でした。

 

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左ジョルジュ・ラコンプ「イシス」(1894)。右同じくラコンプの「存在」(1894-96)。

何と彫刻作品も出品されていた。これは呪術的要素すら漂わせている。

 

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ポール・ランソン「水浴」(c1906)

これと上の彫刻作品は「裏側の世界」と題された最後の第6展示室に展示されていたのだが、この、最後にさり気なく飾られていたランソンの絵は、見終わって時間が経ってからじわじわと気になり出している。なんか不思議。ランソンはこの展覧会ではタピスリーも出品されている。もっとまとまった数の作品を見てみたい。

 

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フェリックス・ヴァロットン「ボール」(1899)

ヴァロットン展以来のご対面。また見られて嬉しい。

 

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左フェリックス・ヴァロットン「自画像」(1897)。右同じくヴァロットン「アレクサンドル・ナタンソンの肖像」(1899)

ナビ派の絵はマットな質感の絵が多い筈なんだけど、ヴァロットンのこの2枚は、特に右側はツヤツヤなので、ナビ派の流れで見るとそこはかとなく違和感が…。やっぱりヴァロットンは一筋縄では行かない画家だわ。

 

今回のこの展覧会は、移動困難なパステル画や、管理するのが難しい素描等を見る事が出来る数少ないチャンスだし、出品作品はナビ派作品の中でもトップクラスのものが揃っているので、会場に足を運んでみる事を是非お勧めします。ここで紹介した以外の、可愛らしくて素敵な色彩の作品にいっぱい出会えますので。

 

5月21日(日)まで開催中。