この世はレースのようにやわらかい

音楽ネタから始まったのですが、最近は美術、はたまた手芸等、特に制限は設けず細々と続けています。

 「パリ・グラフィックーロートレックとアートになった版画・ポスター」

mimt.jp


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三菱一号館美術館で10月18 日から始まった、この展覧会のブロガー特別内覧会に招待されて、参加してきました。

 

『パリ・グラフィック展』は、世界有数の19世紀末版画コレクションを誇る、オランダのファン・ゴッホ美術館と、トゥールーズロートレックの貴重なポスター、リトグラフコレクションを誇る三菱一号館美術館との共同企画によって実現したものだそうだ。

先にファン・ゴッホ美術館で開催されて、今回が東京での開催。

ファン・ゴッホ美術館が、これだけ充実した世紀末版画を収集している事は、今回の展覧会で初めて知った。

 

※画像は、関係者からの特別な許可を頂いて撮影したものです。

 

タイトルを見た限りの印象では、ロートレックを核とした、19世紀パリを象徴するポスターが、ズラズラっと展示されているイメージだった。


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こちらは通常も撮影可能。

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アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックムーラン・ルージュラ・グーリュ』

三菱一号館美術館が誇るコレクション。これは元々、ロートレックがプライベートで所蔵していたものなので、保存状態が極めて良いのだ。

 

このように、実際展示室に足を運んでみると、確かにポスターが沢山並んでいて、当時のパリの町並みを再現した風だったのだが、この部屋を境に、あれあれっ!?と思うぐらいに、印象が変わる。

 

ポスターが飾られていた壁の裏に回るとこうなる。

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ジャン=エミール・ラブルール『《洗濯》洗のための版木』とその下絵。

つきあたりにはラブルールの木版画の原板が!

うわーラブルールだよラブルール!(うるさいって)。乳房が顕になっている、仄かにエロティックな小品。練馬区立美術館で見たバルビエとラブルール展を思い出す。

ちなみに、ショーケース内に展示されているのは、ロートレックリトグラフの原板。というか原石か?こんなの初めて見た!

 

この展覧会のサブタイトルは『From Erite to the Street 芸術と生活のあいだに』。エリートと路上を繋ぐもの。それがグラフィック・アートだった。

19世紀後半に複製技術が発達し、人々は街に溢れるポスター等の広告で、同じイメージを共有するようになる。そして、同じ物を繰り返し見る事によって、人々はその記憶が定着しやすくなったのだ。


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展示室の渡り廊下には、ロートレックの作品に登場する人物のシルエットが貼られていたりして、にくい演出!

夜間に見ると、このちょっとミステリアスな展覧会の印象を一層際立たせる。

 

第2章の展示室に進むと、知的階層(エリート)向けの版画として、ロートレックにラブルール、ヴァロットン、ボナール、ヴュイヤール、ドニといった、ナビ派の画家達が続々と登場。

すると、作品の内容は、ぐっととプライヴェートなものに変貌する。


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ポール=エリー・ランソン『密林の虎』。

『オルセーのナビ派』展で出会って以来、密かに注目しているポール・ランソン(今回はフルネーム表記!)も登場。ランソンは後半にもう一枚出品。この虎の絵はポストカードにもなっていた。

 

知的階層の版画におけるニーズは、私家本の方にも広がって行く。

一枚一枚手刷りして、一冊の本に纏めたものを、一人こっそり見るというスタイルに移行して行ったのだ。

 
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ピエール・ボナールポール・ヴェルレーヌ「平行して」』

 これなんかもう、まさしくパリの薄暗い室内で見るような、官能的書物

隣にはこの複製本が展示されていて、白手袋必須だけど手に取って見られるので、是非この世界を味わってみて下さい。

 

19世紀末は既に現在のような都市スタイルが出来上がっていた。

街中は夜になると街灯が灯り、光の世界を謳歌していた。

しかしその分、闇の世界も強調されるようになっていったのだ。

 

展示室は作品保護の関係上、全体的に薄暗かったので、前半のポスター作品も闇の世界っぽく見えていたかな。19世紀末のパリは、街角のポスターが夜間照明で照らされるような事は無かったのだろうか?技術的にそこまでまだ行ってなかったか。後で調べてみよう。

 

 展示室の一部では、珍しくサティやストラヴィンスキーの曲、当時のパリで録音された肉声等がBGMとして流れていた。これは面白い試みだなと思った。

会期中は、お喋りしながら観覧出来る日も設けられている様なので、その日を目がけて行けば、カジュアルに作品を楽しめるんじゃないかな。

日程は公式サイトで確認してみて下さい。

開催概要|パリ♥グラフィック ― ロートレックとアートになった版画・ポスター展|三菱一号館美術館(東京・丸の内)

 


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 グッズ売場はちょっと、パリの街角にあるスタンド店を思わせる雰囲気に。


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なんと、ヴァロットンの絵柄が手ぬぐいになっていた!

ヴァロットンは、まさか21世紀になって、日本で自分の絵が手ぬぐいになるなんて、思ってもいなかっただろうな。笑った。

 

とてもステキな展覧会です。おすすめです。

2018年1月8日(日・祝)迄開催中。