この世はレースのようにやわらかい

音楽ネタから始まったのですが、最近は美術、はたまた手芸等、特に制限は設けず細々と続けています。

書物にみる海外交流の歴史

静嘉堂文庫美術館

静嘉堂文庫美術館で開催中のこの展覧会は、書物を通じて、日本と海外がどのように交流してきたかを読み解くのが狙い。

江戸時代に書かれた、海外文化を紹介する本や、海外の書物に影響されて書いた本、更には辞書や字典までもが展示されている。

所謂『外国かぶれ』ってやつは、代々この国に根付いていたんだなというのが、これらの展示品を見ると如実に分かる。

 

イソップ童話が江戸時代から読まれていたなんて知らなかった!『伊曽保物語』と表記されていた。

 

そして、司馬江漢による『天球全図』が凄い。銅版で描かれている。

木版なのにやったら図が細かい解体新書もあった。これを見たのは小田野直武展以来か。

 

『波留麻和解(江戸ハルマ)』という蘭和辞書は全5冊で、木箱に収められていた。確か20部程しか作られてないそうだ。こういうのをコレクションしているところも凄い。

この横には江戸ハルマの抜粋版もあった。もっと世の中に蘭語を普及させる為に組まれたのか。ちょっと参考書みたいにも見えた。

 

展示されている数多くの書物には景気よく『静嘉堂文庫』の刻印があって、改めてコレクションの充実ぶりが伺えるんだけど、こういう言葉における重要な歴史的書物がここにあるのは、かつてここで文庫長を任されていた諸橋轍次の存在が大きい。

というのを、今回の美術館訪問で初めて知った。今まで何度も足を運んで来たのに。

展示室の下の階にある講義室では、諸橋轍次の偉大なる業績を紹介する映像がエンドレスで流れていた。プロモーションビデオみたいなものか。

うっかりこれを見だしたら、あっという間に閉館時刻を過ぎてしまった。展覧会グッズも見たかったのに。残念!

 

書物好きには堪らない展覧会です。8月4日(日)迄。