この世はレースのようにやわらかい

音楽ネタから始まったのですが、最近は美術、はたまた手芸等、特に制限は設けず細々と続けています。

デンマーク・デザイン展

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11月も下旬になると、いきなり冷え込んで来て、室内で過ごす時間が多くなってきたように思いますが、皆様は如何お過ごしでしょうか?

 

室内といえばインテリア。そのインテリアデザインを紹介した展覧会が現在、損保ジャパン日本興亜美術館で開催中です。

 

インテリアデザインの中でも、特に人気なのが北欧デザイン。その中でデンマーク・デザインに特化して紹介するのは、今までにない試み。

今年は、日本とデンマークとが修好通商航海条約を結んでちょうど150年。その記念事業として本展は企画されました。

 

この展覧会の開催日に先駆けて行なわれた、ブロガー内覧会に招待されたので、参加してきました。

※画像は、関係者からの特別な許可を頂いて撮影したものです。

 

デンマークといえば、ロイヤルコペンハーゲン


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これはブルーフルーテッドと呼ばれる磁器で、20世紀以前では最も有名だったデンマークデザイン。

磁器は元々中国で生産されていたが、15世紀頃にはヨーロッパに渡り、ドイツのマイセンを経由して、デンマークに伝わった。

マイセンは豪華なイメージだけど、こちらはぐっと華やかさを抑えた印象。

元々デンマークでは、高価な製品に対するニーズが高くなかったのと、磁器の伝わった時代が、丁度ロココから古典主義への移行期で、厳格なデザインが用いられたため、このように落ち着いたデザインのものが作られるようになった。

 
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これは建築家コーオ・クリントのデザインによる椅子とランプ。

古代エジプトギリシャの影響を受けた、シャープなフォルムが特徴。

 

デンマーク・デザインが隆盛を極めたのは、1950〜60年代にかけての事。

オーガニック・モダニズムと呼ばれた、有機的形状の手工芸的な工業生産品が、広く受け入れられたのだ。


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ハンス・ヴィーイナの肘掛椅子。

これが日本民藝館に置かれていたら、しっくりと馴染みそう。

 

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 アーネ・ヤコプスンの椅子。左側の椅子は、『アントチェア』と呼ばれている。

これらは成形合板による工業生産品。公共空間から一般家庭まで、あらゆる空間に使われていた。


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ポウル・ヘニングスンのペンダント・ランプ。通称アーティチョーク

椅子とテーブルはポウル・ケアホルム。

ランプシェードは、部屋の隅々まで照らす蛍光灯の光を好まなかったデンマーク人ならではの感性。仄かな照明は空間に温もりを与える。

かつての日本家屋も、白熱電球で灯されていたので、こんな風に部屋の隅は暗かった筈。

 

 デンマーク人は、これらのインテリアを、コツコツと貯金して手に入れたという。そして、ずっと長く使い続けた。

展示品の中には、使い込まれて風格の漂うものが、幾つもあった。

デンマークをはじめ、他の北欧諸国は冬が長いので、国民は室内を『温かく居心地のよい雰囲気』、これをデンマーク語では『ヒュゲ』というのだけど、そういう雰囲気にしつらえていったのだ。

 

で、展示室を奥に進んでいくと…

 
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て、TG!?

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何とスロッビング・グリッスルのポスターに出くわす。

2009年にコペンハーゲンで行なわれたライヴの告知。活動末期の頃か。

まさかこんな所でお目にかかるとは!

 

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実は今回の展示品の中には、オーディオ関連のものもチラホラと。

これはベオグラム1200のレコードプレーヤーと、FMチューナー/アンプ。

このターンテーブルは、日本のオーディオメーカーにもかなり影響を与えたのでは。


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左がベオリット600、右がベオリット500のポータブルラジオ。ラジカセではない。


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インテリアにマッチしたオーディオコンポ。

こんな空間で音楽を聴くならば、少なくともTGのレコードは選ばないだろう。


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会場には、実際に座り心地を体感出来るコーナーも用意されています。

展覧会を見に行った際には、是非トライしてみて下さい。写真撮影もおっけーです。

 

と、後半は音楽寄りの紹介になりましたが、他にも見どころが沢山あるので、インテリアデザインに興味がある方は、是非足を運んでみて下さい。

音楽ついでに、今週末美術館では、クリスマス ミニアカペラコンサートも行なわれるようです。

 

日時:12月2日(土)午後4時30分から20分程度

 

もうクリスマスシーズンなのか。1年はあっという間だ。

 

概要

開催場所:東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館

開催期間:2017/11/23~2017/12/27

休催日:月曜日(ただし12月25日は開館)

開催時間:午前10時-午後6時、金曜日は午後7時まで(入館は閉館30分前まで)

料金:一般1,200円 大・高校生800円 ※学生証をご提示ください
65歳以上1,000円 ※年齢のわかる物をご提示ください
中学生以下無料 ※生徒手帳をご提示ください

主催:東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館、日本経済新聞社

公式サイト:http://www.sjnk-museum.org/

お問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル:美術館利用案内)