この世はレースのようにやわらかい

音楽ネタから始まったのですが、最近は美術、はたまた手芸等、特に制限は設けず細々と続けています。

江戸と北京 -18世紀の都市と暮らし-

江戸と北京-18世紀の都市と暮らし- - 江戸東京博物館

先日、この展覧会のブロガー内覧会に参加してきました。

 

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展示会場前で何故かモンチッチに出迎えられる。実は今、中国で流行っているらしい。これは展覧会コラボのモンチッチで、中国の女性婚礼衣装を身にまとっている。

 

(※以下、画像は博物館より特別な許可を得て撮影しました。)

 

この展覧会のタイトルを見た時、2年程前に同館で見た「大江戸と洛中」展を思い出した。

あれはアジア各国の古地図や街の景観を紹介した展示内容だったから、これは江戸と北京の地図や景観にターゲットを絞った展覧会なのかなと思っていたら、今回のは18世紀の江戸と北京に暮らす人々に焦点を当て、商売、祭事、学問や遊びといったテーマに分類して、彼らがどんな物に囲まれてどう生活していたかを解き明かし、比較するというものだった。

なんでもこの企画は、15年程前に北京の首都博物館と江戸東京博物館とが博物館協定によって結ばれて以来、温め続けていたものらしい。そのため、双方選りすぐりの一級品、日本初公開ものが多数展示されているのだ。

 

江戸と北京の都市生活がよく分かる展示 

今回の展覧会で話題になっているのが、江戸と北京の街並みを描いた長い長い絵巻が同時に見られるというもの。

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こちらは『乾隆八旬万寿慶典図巻(下巻)』で、日本初公開。乾隆帝が80歳になった際に執り行われた、豪華な式典の様子を描いている。これがまあ、街中がカラフルに飾り付けられていて凄いのなんの!

 

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対するこちらは神田今川橋から日本橋に至るメインストリートを描いた『煕代勝覧』。ベルリンから3度目の里帰り。

こちらは江戸の繁華街の繁栄ぶりが生き生きと描かれていて見応えがある。が、中国の絵巻と比べると若干さっぱりとした印象。

 

刺繍好きは必見!かも

中国の文化を紹介する展覧会はこれまでも沢山開催されてきたけど、それらの多くは宮廷文化が中心で、都市の生活ぶりをここまで真正面に取り上げた企画は今までになかったのではないか。しかもその場で江戸と比較出来るから、どこがどう違うのかが分かって面白い。

しかし、比較してみると江戸で使われていた物よりも、北京で使われていた物の方が派手だな。江戸が地味ってわけじゃないけど、全体的に色味が渋い。北京のはメリハリがきいている。自分は特別派手好みではないんだけど、今回の展覧会では北京からの展示品に目が奪われっぱなしだった。

 特に、この前DMC展を見て来たばかりだったせいか目についたのが、刺繍を施した作品の数々で、どれもこれもがみな素晴らしい!

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これは北京刺繍が施された鏡カバー。

 

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満州族の女性靴。柄が可愛い。

 

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ピンボケだけど、中敷にも刺繍が施されている。

 

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極めつけがこれ。経文が全部刺繍!ミシン刺繍じゃない!w

 

江戸と北京、お互いこれだけ18世紀の都市文化が発達していたという事は、当時の世の中は平和に繁栄していたというのをよく物語っているのではないか。ただ、江戸は確かに大都市だったが、こうして見ると内輪っぽい世界であった様に見えなくもない。北京から来た展示品の、底知れぬパワーに圧倒された形かな。

ミュージアムショップには中国の土産品屋さんも出店していて、まるで中国にいるかのような気分になった。そういえば展示室には全部中国語が併記されていたし。もしかしてこの企画展は北京にも巡回するのだろうか?向こうの人達が現地で日本の展示品を見たらどう思うんだろう。

 

とても見応えのある展覧会でした。興味のある方は是非見に行ってみてください。プチ中国観光気分も味わえます。まあ日本には全国各地に中華街が幾つもあるんですがね。

 

概要
  • 特別展「江戸と北京-18世紀の都市と暮らし-」
  • 会期:2017年2月18日(土)〜4月9日(日) ※月曜日休館(ただし、3月20日(月・祝)は開館、翌21日(火)は休館)
  • 会場:東京都江戸東京博物館 1階 特別展示室
  • 住所:東京都墨田区横網1-4-1
  • 観覧料:特別展専用券 一般 1,400円(1,120円)、大学生・専門学校生 1,120円(900円)、中学生(都外)・高校生・65歳以上 700円(560円)、小学生・中学生(都内) 700円(560円)特別展・常設展共通券 一般 1,600円(1,280円)、大学生・専門学校生 1,280円(1,020円)、中学生(都外)・高校生・65歳以上 800円(640円)、小学生・中学生(都内) なし※( )内は20名以上の団体料金