青山悟展 名もなき刺繍家たちに捧ぐ
“ミシン”のキーワードから自分のアンテナに引っかかってきた個展。
青山悟は、アートとして工業用ミシンを使った刺繍作品を手掛けている作家だそう。
ミシンがけも刺繍も、女子供が家事、手伝いの合間に手を動かして作るという意味合い以上のものは、昔は求められていなかった。
現在だって、そんな風に思っている人が多いのではないか。
青山悟は、イタリアのアルテ・ポーヴェラの一員であるアリギエロ・ボエッティによる刺繍作品『Mappa』へのオマージュとして、今回の展覧会では、刺繍による世界地図作品『Map of the World (Dedicated to unknown embroiderers)』を発表している。
アルテ・ポーヴェラは高尚な芸術に対する貧しい芸術。工芸作品は大芸術に対する小芸術と称される。
誰が、どこでそんな風に線引きしたのだろう?
そんな疑問を、この作品は見る者に問いかけているようだった。
刺繍という手法は、平面的な作品になりがちなんだけど、これは劇的な仕掛けによって、ダイレクトに、スタイリッシュにメッセージを届けるような作品に変貌させている。
と同時に、こんな大掛かりなエクスキューズをしないと、工芸的作品は芸術作品として昇華される事はないのか?とも思った。
いやなかなか、不思議と心に残る展覧会でした。23日(土)まで。
1F駐車場前では『アーティストたちの世界地図(ドローイング)』が展示されている。参加型作品なので日々更新中。わたしが行った時はこんな状態だった。