拡張するファッション 神田恵介×浅田政志トークショーツアーに参加してきた。
先日、わりかし最近お知り合いになった、Keisuke Kandaファンである友達から、そのブランドのファンクラブ主催による、水戸芸術館行きの1日バスツアーに一緒に行きませんか?というお誘いを受けた。
信仰の現場に潜入!?
卒業写真の宿題 / HOMEWORK: GRADUATION PHOTOGRAPH - AKAAKA
そしてこのバスに乗っている人達の一部は、この写真集の被写体として登場した方である事が告げられる。
なるほど。道理でここにいる子達はやたら可愛い子ばかりなわけだ。
それで、トークショーでは彼女達も壇上に上がってもらい1人づつ喋る段取りになっているから、このバスの中で喋る内容等をそれぞれ考えておいて欲しいという説明がテキパキとなされていた。
と、ここまで来て、この司会進行をこなす彼こそが、今回のトークショーで喋る写真家の浅田政志であることを知る。
これにはちょっとビックリした。この人には、いつもカメラを小脇に抱えてシャッターチャンスを窺っているような、いわゆるカメラマン的佇まいが全くないのだ。
今回のバスツアーに興味を抱いた理由は、前々からこの浅田政志が行なっているスライドショーというものを、チャンスがあれば1度見てみたいと思っていたからだ。が、自分は本人のお姿すら知らなかった。恥ずかしい…。
ひと通りの説明を終えると、今度は参加者一人ひとりの自己紹介が始まる。
写真集のモデルになった人達だけでなく、我々の自己紹介も!
ぎゃー聞いてないよーそんなのー!
学校のバス遠足でもさせられなかったぞ。こんな事。
その自己紹介を聞いていて分かったのだが、モデルになった子達の中には、わざわざ地方からこのイベントに参加するために上京してきている人もいた。
水戸芸術館に現地集合するやり方もあっただろうに、あえて東京からツアーバスを立てて行くというこのやり方。なんかすごい。
バスは昼前には水戸芸術館に到着し、昼食休憩を兼ねた自由行動の後、2時からトークショーが始まった。
会場となったホールの壇上は、さながら学校の体育館みたいなしつらえになっていた。
そこに、先ほどまで一緒にバスに乗っていた、被写体の彼女たち全員が、客席後方から入場行進して壇上に上がってきた。
で、ここからスライドショーが始まる。
この『拡張するファッション』展にも展示されている神田恵介と浅田政志のコラボレーション『卒業写真の宿題』は、Keisuke Kandaのウェブサイトから希望者の高校生を募り、願書を提出してもらい、インパクトのあった人達を選び、その人達の住んでいる場所に神田さんと浅田さんが実際に出向き、Keisuke Kandaの服を着て、本物の卒業写真には絶対に掲載されないような、ちょっとぶっ飛んだ写真を撮るというプロジェクトなのだそうだ。
このプロジェクトは2011年に始まったもので、今回こうして美術館での展示、写真集刊行と相成ったので、ここで一区切りとして、この場に参加者が集まってもらい、卒業式のようなものを行なうというのが、本日のイベントの目的でもあったのだ。
スライドを見ながら、そこに登場した彼女たち一人ひとりに、浅田さんと神田さんが撮影時のエピソードなどを質問しながら話を進めていくのだが、なんだろう、自分も彼女たちといっときバスでご一緒していたせいか、別に直接コミュニケーションしたわけでもないのに、結構感情移入しながら話を聞ける事に驚いてしまった。
ちょっとこれは、直接会場に赴いてただトークショーを聞くのとは違う感覚だ。
特に『卒業写真の宿題』番外編である『自由研究』。こちらは高校卒業から何年も経った“大人”に、あえてベタな学校行事を行なわせて撮影するというテーマなのだが、林間学校や修学旅行の時は多分、今回の我々みたいに集団でバス移動をして、お互いにコミュニケーションをはかっていたんだろうなというのが写真からもにじみ出ていて、それが実感として受け止められるのが嬉しいというか笑っちゃうというかはめられたというか、とにかく、ヘンな気分だった!
なんであえてこういう写真を撮ったのかというと、神田さんはいわゆるプロポーションの整ったモデルに服を着せた“ファッション写真”に何の魅力も感じないからだと言う。
普通の、どこにでもいる女の子達に着てもらえる服しか作ろうと思わないのだ。
日常生活の中でいきいきと過ごせる服だというのを、浅田さんとのコラボ写真で示したかったのだと思う。
終了予定時間をオーバーしてトークショーは終わり、その後はまた自由時間だったので展覧会を鑑賞し、6時頃には美術館を後にし、到着予定時刻通りに無事元の場所に戻ってきた。
帰りのバスでは、今度は神田さんについての話がメインで、色んなエピソード等が繰り広げられていった。
このブランドは若い女の子だけがターゲットだったのかと思いきや、ファンクラブの会報を作っている方はリアルパンク世代であろうカッコいいおじさんだったのが衝撃!この方もいらしてたのだが、すんごく格好良くここの服を着こなしている。
いやまあ、この方を見習うのはハードル高すぎだけど、ちょっとわたしもここの服を着てみたくなった。ミイラ取りがミイラになるってこの事だわ。やられた。
ちょっと普段では味わえないような濃い体験でした。誘ってくれた友達に感謝しています。どうもありがとうございました!