平野甲賀の仕事展と、ドッペルツイマー
平野甲賀の仕事 1964−2013 展 | 武蔵野美術大学 美術館
平野甲賀(1938-)が1960年代から現在まで手がけた装丁本や演劇ポスター、チラシ等を一望する展覧会。21日まで。
平野甲賀デザインの本、または晶文社の本は装丁が独特なので、本屋さんに行くと思わず手に取りたくなるのだが、それは本屋さんの雑多な品揃えの中から浮かび上がる独特さであって、企画室内がオール平野甲賀デザイン&晶文社ものでズラーっと並べられると饒舌過ぎてアタマくらくらしてきた*1。
観に行った11月30日はご本人様御来館で、貴重なお話しがたくさん聞けたのだが、メモを取り損なってしまったので、今となっては記憶が曖昧だ。
忘れちゃうのがもったいないので、覚えている範囲で書き留めておきます。
「ワープロ全盛時代は富士通の字体が良かった。」
「水牛通信は執筆者が打ってきたワープロ原稿をそのまま貼った。」
今まで装丁した中で印象に残った本は?と質問されて、会場内にある数多くの本を眺め回していた時、ふと高田喜佐の本に目が留まり、その本を手に取った。
わたしはこの本の存在を知らなかったのだが、甲賀さんも、「よくこの本を見つけたね~!」と感心していた。あんまり市場に出まわらなかったみたい。
まあ、この本が特に印象に残ってるというわけじゃなくて、たぶん、本人も忘れていて、いきなりこの本に出くわしたのでビックリしてた、という様子だったな。
そういえば高田喜佐さんの展覧会が今年神戸で開催されてたんだよね。
これがその展覧会のカタログなのかな。すいませんこれは甲賀さんのデザインじゃないです。脱線しました。
展覧会開催時点での最新の装丁仕事はこの本だった。でも、「いまいち…」というコメント。
本人曰く、「タイトルさえ良ければ、いい描き文字がつくれるんだよ。」
そして、男性の作家さんとの仕事が多いという指摘に、
「僕の仕事は女性に敬遠されるんだよ。直接女性の作家さんに断られたこともある。」
…そっかー。これには気づかなかった。じゃあ、高田喜佐さんの本は、数少ない部類の本だったのか。
女性との仕事は少ないと言ってたが、別室で展開されていた学生とのコラボ作品になると、とたんに女性の学生がメインになる。
お客さんからの質問で、「タイポグラファーを目指す人は男性が多いのではないか?」というような主旨のものがあった。
確かに、現時点では男性がメインの世界なのかもしれないが、美術学校の生徒は女性の方が多いというし、将来的には女性が増えていくんじゃないかな?と、実は展覧会を見ながら思っていたのだ。
甲賀さんはこの日、自身のトークショウよりも、この後に行なわれた「ブックエンド・ミュージック」というイベントを見るのを楽しみにしていたようだ。
この、ドッペルツイマーというバンド?のことは全く知らなかったのだが、無料だったしちょっと見てみようかなと、わたしも釣られてライヴ会場である図書館に足を運んだ。
うん、なかなか良かったです。こうやって未知の音と突然出会うのがいちばん好きだなぁ。
これから気に留めるようにします。
*1:悪い意味で言ってるつもりはないです。