この世はレースのようにやわらかい

音楽ネタから始まったのですが、最近は美術、はたまた手芸等、特に制限は設けず細々と続けています。

『夜想』19号

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『夜想』19号 1986年初版


特集タイトルは『幻想の扉』。目次はこちらに明記。


このところ、戦後日本の現代美術を回顧する展覧会が幾つも開催され、そのうちの幾つかは見に行ったのだが、見に行く度に思い出すのはこの雑誌のこの号だった。


この号を買ったきっかけはウィーン幻想リアリズムへの興味と、金子國義四谷シモンのインタヴュー記事だったように記憶しているのだが、そのうち山下菊二や北脇昇や石井茂雄や斎藤真一などの作品に興味が広がっていった。


この本を買った当時は、ここに取り上げられている画家たちは全て異端世界の住人のようにイメージしていた。
80年代当時のアートシーンは、もっとポップで明るい作品がもてはやされていたような気がするからだ。
とは言っても、実際自分がこの本を購入したのは、1990年頃だったと思うのだが。


ここに掲載されている作品達が、国公立の美術館で堂々と展示される日がやって来ようとはね…。と、実際に展覧会場でこれらの作品に向き合った時、そんな感慨を抱いたものだった。


今現在、ウィーン幻想絵画の方は忘れられた美術の潮流のひとつに数えられているかもしれないが、もしかして、どこかのキュレーター辺りが、新たな切り口を提示すれば、またウィーン幻想絵画に脚光が当たる日もやって来るかもしれん。
あと、青木画廊を中心として、戦後現代美術の流れを一望できる企画展とかやったら、どうかな?
なんて事を、この本を眺めながらつらつら考えていた。