スタシス・エイドリゲヴィチウス イメージ―記憶の表象
スタシス・エイドリゲヴィチウス:イメージ——記憶の表象 | 美術館
スタシス・エイドリゲヴィチウス(1949〜)の、国内では初となる大回顧展が、武蔵野美術大学美術館で開催されている。
スタシス・エイドリゲヴィチウスと、フルネームで書かれるとピンと来なかったんだけど、『スタシス』の名前は遥か昔に目にした記憶がある。
1990年のイラストレーション誌で特集が組まれていた。
当時、掲載されていたインタヴュー記事を読んで、掲載されている作品以外の作品も見てみたいと思っていたのに、いつの間にやらウヤムヤに…。
30年近くの時を経て、インタヴューで語っていたエクスリブリス(蔵書票)の実物を見て、その膨大な量と凄まじいクオリティに打ちのめされ、1970〜80年代に撮影された家族写真にやられ…。まさかあんな美しい写真にお目にかかれるなんて!
他にも、自身が制作・出演した演劇が映像で見られるようになっていたのも驚きだったし。演劇も手がけていたとは!
他にも、大小さまざまなスケッチブックが展示されていて、一部中身がタブレットで見られたのも良かったし。とにかく盛りだくさんだった!
スタシスさんは、絵を描いていなくても、ステージ上での存在感は半端なかった。
もしかすると、歌舞伎衣装がもの凄く似合う人なんじゃないかなぁ? 頭も大きそうだし。
彼はビートルズ世代だから、作品からはちょっとだけその頃のロック・カルチャーの香りが感じられる。ピンク・フロイドやデヴィッド・ボウイが好きだと書いてあった。でもスタシスのフィルターを通すと、彼独自としか言えないものになってしまうのだ。
作品の中によく出てくるのは、糸のようなものが縦横に絡み合うイメージとか、丸い穴に棒のような物を通すイメージ。糸を絡める、束ねるというのは弱いものをまとめて強いものにするようなメッセージなのだろうが、穴に糸や棒を通したり突き刺すというのは、物や人を拘束するような感覚を表現したいのかな?
自分は何となく、お裁縫の要素に重なるものがあるなと思い、興味深く見ていたのであった。
これが無料で見られるなんて信じられない!
興味のある方は是非! 11月9日まで。