この世はレースのようにやわらかい

音楽ネタから始まったのですが、最近は美術、はたまた手芸等、特に制限は設けず細々と続けています。

岩﨑家のお雛さまと御所人形(その2)

展示品の中には、岩崎家の稚児雛だけでなく、立雛や犬筥でも、かなり大きなサイズのものが出品されていた。

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これが大サイズ(横43cm)の犬筥。江戸時代後期のもの。

対になっているんだけど、ガラスケースには一つしか入らない。存在感ありまくり。


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これが大サイズの立雛。男雛の背丈は65cmもある。やはり江戸時代後期に作られたもの。
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横から見るとこんな感じ。単純化されたフォルムが思いの外モダンだ。男雛と女雛のお顔立ちは、鼻がスッと通ってスッキリとしている。この線の様な鼻を表現するのは、団子鼻にするよりもずっと難しいと、林さんは仰ってました。

作られた当初は一体、どのようなお屋敷に飾られていたのだろう?

 

特筆すべきは保存状態の良さ。仕舞う時も丁寧に扱われていたんだろうなと想像出来る。

ここに展示されている人形達はどれも、大切に扱われている感が滲み出ている。一級品を愛でる人達は同時に、保管にも細心の注意を払うのだな。

 

サンリオキャラクターかと思った。

この展覧会でもう一つ目玉とされている出品作が、岩崎小彌太還暦の御祝として、五世大木平蔵に制作を依頼した、58組61体の木彫彩色御所人形だ。


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七福神や、鯛車を曳いていたり、餅つきをするコロコロした人形達が、ワラワラと飾られている。

これらの行事のルーツは大陸にあるんだろうけど、彩色に使われている赤一つを取ってみても、大陸の赤とは違う。全体のムードも違う。

凄く日本的だ!というか、ファンシィ。最初に見た時はサンリオキャラかと思った。

 

岩崎小彌太還暦祝の席では、この御所人形を全部、大テーブルの真ん中に飾り、お祝いしたという。

このファンシィグッズを、還暦の衣装を纏った親爺共で取り囲み、宴会に興じている図はなかなかに凄いものがある。『可愛い』を愛でる心に年代は意味を成さないんだろうけど、この木彫彩色御所人形は、日本人が好む可愛さを様式化した、一つの完成形のようにも見えた。

これを見るだけでも、この展覧会に来てみる価値はあると思います。

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木彫彩色御所人形の下絵も展示されている。

 

まだまだ見所は沢山ありますが、ひとまずこれにて。日本の人形って面白いなぁ。近いうちに職場の近所にある人形店にも行ってみます。