この世はレースのようにやわらかい

音楽ネタから始まったのですが、最近は美術、はたまた手芸等、特に制限は設けず細々と続けています。

~生誕200年記念~幕末の北方探検家 松浦武四郎展

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『北海道』の名付け親。

静嘉堂文庫美術館では、24日から松浦武四郎展が始まりました。

松浦武四郎(1817-1888)は、「幕末の北方探検家」、「北海道の名付け親」として知られている人物。

10代半ばから旅に出るようになり、蝦夷地には生涯に計6回も訪れたという。

彼によって、初めて蝦夷地の内陸部まで詳細に記した地図も作成された。

明治2年(1869年)、彼は蝦夷地の新たな地名の認定を任され、「北のアイヌの人々が暮らす大地」という意味を表す『北加伊(海)道』という名称を選んだ。

今年は北海道命名から、ちょうど150年にあたる節目の年。そうだったのか!

TVドラマ化も決定していて、来年放送予定との事。武四郎役は松潤だそうで。

震災もあって大変だけど、北海道が今熱い!

この展覧会では、「幕末の北方探検家」ともう一つ、「古物の大コレクター」という側面にスポットライトを当てていて、彼の並外れた好奇心と実行力が伺える内容になっている。

 

自分はいちおう道産子なので、この展覧会はとても楽しみにしていた。

 

開催初日に行われたブロガー内覧会に参加出来たので、その時の様子をレポートします。

 

※画像は関係者から特別の許可を頂いて撮影しています。

 

内覧会に先立って、河野元昭館長と、本展覧会を監修した成澤主任司書と、ナビゲート役のTakさんをお招きして、松浦武四郎の人物像や、人脈関連で熱の入ったトークを繰り広げてくれました。

 

展覧会では特別に、川喜田半泥子の陶芸作品が出品されているのだが、


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(※こちらは通常も撮影可能。)

松浦武四郎と半泥子、どう繋がっているのかというと、川喜田半泥子の祖父である川喜田石水と松浦武四郎とは、出身地が同じ伊勢で、しかも幼馴染だったという。そして交友関係は終生続いたという。

 

そもそも、なんで静嘉堂文庫に松浦武四郎の古物コレクションが900点もあるのかが謎だと、Takさんが指摘。

この辺は、岩崎彌之助の深川別邸を手がけた、大工頭で古美術鑑定家の柏木貨一郎と武四郎とが交友関係にあったからと推測されている。が、確定はされていない。との事。

 

展覧会では数々のイベントが企画されている。10月6日(土)にはアイヌのコンサート。11月10日(土)には松阪牛試食会なんていうのもある。

北海道ならジンギスカンだろう!と突っ込みたくなったのだが、武四郎は今の三重県松阪市出身なのでこうなってしまうらしい。

 

伊勢国出身の武四郎が蝦夷地に関心を抱いたのは、長崎を旅している時に、蝦夷地をロシア人が侵攻するとの噂を聞きつけたからだという。すると、その足で彼は蝦夷地に向かったというんだから、行動力は半端ない。

 

少し展示室の出品物も紹介します。


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ギャラリートークでは、成澤主任司書さんが解説してくれました。

左上の写真は、松浦武四郎が唯一残したポートレイト。

首にかけている大首飾りの実物がガラスケースに展示されている。


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これを静嘉堂文庫が所有している事は、美術館側は、5年前に開催した松浦武四郎コレクション展の時まで公表していなかったらしい。

使われている勾玉やガラス玉は、概ね古墳時代に作られたもので、武四郎自身がこのデザインで繋げたらしい。どんな素材の石が使われているかは、パネルに細かく書いてある。重さは3kgはあるそうで。ズッシリだー!


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アイヌ人に先導されて、蝦夷地を歩く武四郎。


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このように、武四郎の書いた蝦夷地の紀行文は、絵師に描かせた挿絵が加わり、読みやすい物語本として、広く読まれるようになった。


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内陸部まで詳細に記した北海道全図を床に配置。グーグルマップと照らし合わせて見ると、更に楽しめそう。


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武四郎が収集した古物は、ジャンル毎にピッタリとサイズに合う木箱に収められ、保管されている。箱書もちゃんとされている。

目録も武四郎自身が絵を描き、詳細にまとめられている。


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分類目的で、これらの古物を集めていたのか?


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晩年武四郎は、法隆寺伊勢神宮外宮や出雲大社など、かつて訪れた、全国に名だたる社寺から古材を譲り受け、神田の自宅に、それらを用いた「一畳敷」を建てた。

遠出が出来なくなった武四郎はそこに籠り、思い出に浸っていたという。

 

建物は現在、国際基督教大学の敷地内に建つ茶室泰山荘の中に建っている。

現在、国際基督教大学でも松浦武四郎生誕200年記念イベントが開催されていて、一畳敷も、予約をすれば外観のみ見学可能になるようです。

詳細は、下に貼ったリンク先でお確かめください。

www.icu.ac.jp

 

とりあえず一旦ここまで。もう一回書きます。

とても面白い展覧会です。おすすめします。

 

開催概要

会期: 9月24日(月・祝)〜12月9日(日) 
会場: 静嘉堂文庫美術館
住所: 東京都世田谷区岡本2-23-1
時間: 10:00〜16:30(最終入場時間 16:00)
休館日: 月曜日 10月9日(火) ※ただし10月8日は開館
観覧料: 一般 1,000円  大高生 700円(20名以上団体割引) 中学生以下 無料 
TEL: 03-5777-8600(ハローダイヤル)