絶滅危惧種。街のレコード屋さん。
最近は地方だけでなく、大都市でも急激に姿を消しつつある、個人営業のCD屋さん。
自分は近年、積極的に音楽を聴かなくなってしまい、CD屋さんという場所から遠のいているので、店舗減に加担する側の人間だ。
そんなわたしだが、奈良に行ったら是非立ち寄りたいと、ずっと思い続けていたレコード店がある。それがジャンゴレコード。
ここは今どき珍しく新譜CD、DVDが置いてある、正真正銘の個人営業店。勿論中古レコードも売っている。
今年で創業32年目。平成の年号よりちょっとだけ長いが、平成最後となるこの夏は、ソフト離れは言わずもがな、異常気象にも見舞われ、実店舗はかなり苦しい経営状況を強いられているようだ。
わざわざシャッターが降りたお店の看板写真を撮る悪趣味な自分。
これは隣店舗のシャッターに貼られている新譜のチラシ。ふふっ、このさり気なく素っ頓狂な所がいいんだよなー。
お店に灯りが灯るのは、夕方頃から。
(開店時のお店の写真を撮り損なってしまったのだよ…)
自分がお店を訪れたのは、ぼちぼち店仕舞をするような時間帯だったのだけど、お店の方はこんな客でも丁寧に対応してくださいました。感謝!
音楽自体を久しくちゃんと聴いていなかったので、とりあえず店内お勧めCDを試聴する事に。
この日に買ってきたもの。いやー7inchなんて久々に買ったわ!しかしまだ聴けてない。ゴメンなさいb-flowerさん!
桶田知道
こちらは奈良が生んだ異才、桶田知道の2ndソロ作品。
エッ!?と思う程の懐しいシンセポップ。YMOの次に出て来てもおかしくなかった音。でも実際はその反動からか、テクノというクラブ系のハードな音が、YMOの次の時代には全盛だった。
それを通過したからこそ、この音が出て来たのかなと思った。心地良いんだけど奇妙に歪んでいて、壮大なスケールまで感じさせる。
1stは可愛い女の子ヴォーカルがフィーチャーされていて、こっちも良かったんだけど、より新しい方を今回は選んでみた。
お店の方の話によると、桶田さんは奈良の中でも田舎の方に住んでいるそうで、音とのギャップが激しいみたいな事を言っていたけど、逆にそれが功を奏しているのかも。
モリオカ 『砂の人』
全世界でここしか販売していないと、店長さんは言っていた。
いつリリースされたのかは聞かなかったけど、そんなに前ではないと思う。
試聴している時は、「初期チェリーレッド」だ。「マリン・ガールズ」いや「トレイシー・ソーン」。「ジスト」だ。「初期ラフ・トレード」、「ポストパンク」!
という、なんだか久しく口にしていない単語がボロボロ出て来て、
「やっぱりあの頃の音って独特でしたよね!」
と、エアコンの効きが悪い店内で、汗を拭き拭き熱く語っていたのが、今思い出しても何か笑える。
決して懐古趣味ではない。今リアルにこの音を出している事が嬉しいではないか。
店長さんは、
「結構好評で、このお店でもう50枚は売りましたよ。」
と言っていた。いや、もっと売ってるんじゃないの?
このアルバムはこれからの季節に合う音だ。凄くいいです!
お店には、全世界中で店舗販売しているのは当店だけ!という、アメリカでリリースされたネロリーズのカセットテープもあったんだけど、家でカセット聴けなくなっちゃったからなー、という事で断念。でも、今考えると買っといても良かったかな?
90年代前半、奈良出身のインディーズバンドといえばネロリーズだった。
店長さんは、お店で初めてメンバーと出会った時の衝撃を、この夜は語ってくれました。
Nelories - Cadillac for Montevideo (Demo) [FAN VIDEO]
Nelories - Glass Chocolate (VIDEO)
音楽も地域の特産品なんだよな。最先端の音楽っていうと、東京中心になりがちなんだけど、こうして現地に赴かないとなかなか出会えない音楽っていうのも必要だと思う。そして、こうしてお店の人に直接お話を伺いながら新たな音楽を聴けるっていうのも、凄くいいと思った。はて、自分は今までレコード店でこうやって店員さんと対話しながら買うものを選んだ事があったっけ?あったような気もするけど、随分昔の話だったので忘れてたわ。
貴重なひとときが過ごせて、とても楽しかったです。ジャンゴレコードさん、ありがとうございました!
と、まだ奈良話を書いているのは、今頃になってようやくこの時買ったCDを聴き出したから。ホントに音楽から離れちゃって情けないです…。