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この世はレースのようにやわらかい

音楽ネタから始まったのですが、最近は美術、はたまた手芸等、特に制限は設けず細々と続けています。

ルオーとフォーヴの陶磁器

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ルオーとフォーヴの陶磁器 | 汐留ミュージアム | Panasonic

パナソニック汐留ミュージアムでは年に一度、ルオーを中心とした企画展を開催している。

今年のルオー企画展は現在開催中の、ルオーが手がけた陶芸作品にスポットを当てたもの。

ルオーが陶芸を手がけていたなんて全然知らなかったのでビックリ。

今回、この展覧会のweb内覧会に招待されたので、その時の様子等をレポートします。

学芸員の萩原敦子さんが、展覧会の見所を詳しく説明してくれました。

 

※写真は美術館より特別に撮影の許可を頂いています。

 

アンドレ・メテという陶芸家

今回の展覧会の大きな特徴は、陶芸家アンドレ・メテ(1871-1920)を日本では初めてクローズアップして紹介しているところだろう。

わたしも今回初めてこの人の存在を知った。

会場は大きく三章に分けられていて、最初の第一章が、アンドレ・メテの生涯と作品紹介に当てられている。

この部分のみが撮影可能エリアだった。

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第一章は『青の部屋』と呼ばれていて、メテ自身の作品が展示されている。

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ティーセット一式が美しく飾られていた。

これは実際には使われていなかったのではないかな。自信ないけど。

そうそう、今回の出品作品は個人蔵が多いです。プライヴェートな場所に飾られていたものを、今回どうしても出品したいという強い想いで借りてきた作品もあるそうです。もしかすると今回が本邦初出展にして最後の公開になるかもしれない。日本には殆ど所蔵されていないので。

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この写真に写っている女性は、メテの奥様。メテの良き理解者だったようだ。

写真は確か、1910年代に撮影されたもの。ごく初期のカラー写真で色彩がとても柔らかくて良いのだ。メテの作品にも通じる美しさで目を惹いた。

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メテの施釉陶器大皿の前で解説する萩原さん。

結構メテは緻密な下絵を元に絵付けをしていたようで、会場には下絵用型紙なども多数展示されていた。

 

フォーヴの画家達とのコラボレート 

第二章ではフォーヴ(野獣)の画家と称された、マティスヴラマンク、ドランといった面々に、メテが絵付けを依頼し、ファイアンスという技法で焼き上げたお皿や壺等を展示している。

1905年のサロン・ドートンヌで彼らが野獣派として注目されていた時期に、このような陶芸作品が作られていたとは知らなかった。

会場には、陶芸作品と一緒に彼らの絵画作品も展示されている。

絵画だと結構日本にも所蔵されているようで、今回の絵画作品は日本から貸し出されている。

描かれた時期は必ずしも陶芸作品を制作していた時期とは重なっていないのだが、マティスの『中国の花瓶』(1922)という絵画作品なんかは、タイトル通り花瓶が描かれていて、女性なんかもちょっと切れ長の目をしていて中国人風だったりする。平面的で装飾性を強調したこの作品からは、絵付をする際と同じように意識して描いていたのではと思わせるものがあった。

 この章はフォーヴの括りになっているけれど、出品作家の全てがフォーヴと呼ばれていた訳ではなく、例えばジャン・ピュイなんかはナビ派の方だし、ピエール・ラプラードはもっと軽妙で柔らかい色彩の作品を手がけていた。

 

ここに展示されていた陶芸作品は、日常的にどこかに飾りたいと思わせる、軽妙洒脱なものが多かったな。ジャン・ピュイの『四人の女性半身像』だって平気よ。ちょっとエッチだったけどw

 

陶芸でマティエールを追求していたルオー

第三章では一室がまるまるルオー作品の展示スペースになっている。

第二章は真っ白な壁面で華やかに作品が展示されていたのだけど、ルオーの間は金色(黄土色?)の壁面だった。

ルオーの陶芸作品になると、隣の部屋の画家達の絵付けの仕方と全然違う事に驚かされる。ルオーの陶器には余白がない!

オフィーリアを描いた大皿なんて、裏面にも描かれていたもんな。

 ルオーは、他の画家達が1911年頃にはメテとの共同制作を終えていたのに対し、1913年頃迄は制作を続けていた。

共同制作が続けられなかったのは、1910年にメテの工房が大洪水によって流されてしまった事にもよる。

ルオーとメテは、同い年であった事もあり、特別な信頼関係を得ていたようだ。

おそらく、ルオー独特のマティエールを開発するのにも、メテの工房は最適な実験場所だったのだろう。

 

ルオーはガラス絵は描かなかったのかな?

こう思った理由は、この前横須賀美術館で清宮質文のガラス絵を初めて見て、あのマティエールがムチャクチャかっこいいと思ったから。

 

わたしは陶芸については無知なのだけど、今回ルオーの陶芸作品に初めて触れてみたら、長い時間をかけて見ていてもちっとも飽きなかった。おかげで他の作品を見る時間がなくなってしまった!

ルオーは陶芸によってあのマティエールを確立していったのだ。今回はその試行錯誤ぶりが分かる、またとない展示になっている。会場には絵画作品も多数展示されているが、今回は若い時代の作品に限定していて、この点からも、今までのルオー展とは一味違うものになっている。

あ、別室のルオー特別展示室には晩年の作品も展示されています。この部屋って、時間によって照明の明るさが変化する仕掛けになっているみたいで、行った時は夜間だったのでおもむろに暗くなりました。あれにはビックリした〜!

6月21日(日)まで開催中。