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この世はレースのようにやわらかい

音楽ネタから始まったのですが、最近は美術、はたまた手芸等、特に制限は設けず細々と続けています。

ワシントン・ナショナル・ギャラリー展

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ワシントン・ナショナル・ギャラリー展 |三菱一号館美術館

先日、この企画展のブロガー特別内覧会に行って来ました。

ワシントン・ナショナル・ギャラリー(NGA)展は、ルーブル美術館展やオルセー美術館展ほどではないにせよ、日本でもしょっ中開催されている展覧会の一つではないかと思うのだが、実際に足を運ぶのは初めて。

今回の企画展の特徴は、

『エイルサ・メロンの、優しく、心安らぐコレクション』

というキャッチコピーにあるように、ギャラリー創設者アンドリュー・W・メロンの長女エイルサの感性と審美眼によって集められた作品が選ばれている事だろう。

エイルサ・メロン(1901-1969)は、NGA全体のコレクション形成に関わった重要人物の一人なのだが、表舞台に立つのを好まなかったせいか、その存在は今まであまり語られた事がなかったようだ。なので自分も今回初めて彼女の存在を知った。

彼女の好みの絵画は印象派とポスト印象派の、パーソナルな趣を持つ作品たちだった。

そのせいか、国立美術館のコレクションであるにも関わらず、作品観覧中は、なにかプライベートなフォトアルバムみたいなものを、密かに見続けているような印象を受けた。

そして、展示室で見ることが出来た彼女のポートレイトは洗練された美しさで、とても魅力的だった。誰が撮影した写真なのだろう?それがとても気になった。

 

少し出品作品についても触れてみます。

※写真は主催者から許可を得て撮影したものです。

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エドガー・ドガ『競馬』(左側)と、エドゥアール・マネ『競馬のレース』(右側)という、2枚の競馬をテーマにした絵を並べて、その表現方法の違いを解説するナビゲーターの杉山菜穂子学芸員さんと、Takさん。

ドガの方はレースが始まる前ののんびりした風景、対するマネはレースが行なわれている真最中の臨場感を描いている。

どちらがより近代的表現かというと、やっぱりマネの方か。

展示室にいる人たちとの比較で見ると分かるのだが、今回の他の出品作品も、小さいサイズの絵画が本当に多い。

 

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右側はジョルジュ・スーラ『海の風景(グラヴリーヌ)』。

これはスーラにしては点描のドットが粗い。まるで20世紀半ばにアメリカで隆盛を誇った抽象表現主義を先取りしたかのような、実験性を帯びた作品だ。

木のパネルに描いているのだけど、パネル自体に木枠を合体させるという加工がなされている。

元々はこんな金ピカな額じゃなくて、シンプルな木枠がはめられていたようなのだが、アメリカ人はこういうゴージャスな額を好む傾向にあるようだ。

スーラがこの額を見たら、「なんじゃこりゃ?」と思うかもしれない。

 そう、今回の展覧会は小品が多いんだけど、額はやったらゴージャスなんだわ。

 

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右側はエドゥアール・マネの『タマ、日本犬』。

犬だけど付けられた名前はタマ…。

そしてこれもデコラティブな額。


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右側はアントワーヌ・ヴォロンの『バターの塊』。
この絵は額を意識して見るとすっごい胸焼けがする。
すっごく優美に着飾っているけど、その身体からはフライドポテトの匂いが漂っているようなイメージ。

鑑賞しているうちにフト思い出したのは、『刑事コロンボ』で犯人として描かれていた、上流階級の人達が住む豪邸のイメージだ。そういえば、『2枚のドガの絵』という、絵を題材にした回もあったっけ。
あの、ともすればハリボテのように見えるゴージャスなセットは、ドラマの中だからこその世界かと思っていたんだけど、こうやってリアルな世界でも存在してたんだなと。


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今まで全然馴染みがなかったのだが、今回作品を見て凄く気になったのが、「アンティミスト(親密派)」と呼ばれれるエドゥアール・ヴュイヤール(1868-1940)の絵だった。もっとたくさんの作品を見てみたい。

他にも、ゴッホが精神を病む前に描いた穏やかな色彩の風景画や、ロートレックが描いた小さな肖像画、ベルト・モリゾの人物画など、控えめだけどハッと目を惹く作品が来ていて、鑑賞後はいいものを見たなという気分に浸れました。


5月24日(日)まで三菱一号館美術館で開催中。