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この世はレースのようにやわらかい

音楽ネタから始まったのですが、最近は美術、はたまた手芸等、特に制限は設けず細々と続けています。

ウフィツィ美術館展


ウフィツィ美術館展 黄金のルネサンス ボッティチェリからブロンヅィーノまで Arte a Firenze da Botticelli a Bronzino: verso una ‘maniera moderna’

 

 

美しきもの見し人は (新潮文庫)

美しきもの見し人は (新潮文庫)

 

 

ルネサンス絵画にはさほど明るくないのにこの展覧会に足を運んだのは、ウフィツィ美術館には最近気になっているセーヘルスの作品が所蔵されていると知った事と、最近読んだこの本にやはりウフィツィ美術館が所蔵する、シモーネ・マルティニの『受胎告知』が紹介されていて、この絵に妙に惹きつけられたから。

Simone Martini 077.jpg
"Simone Martini 077" by シモーネ・マルティーニ - The Yorck Project: 10.000 Meisterwerke der Malerei. DVD-ROM, 2002. ISBN 3936122202. Distributed by DIRECTMEDIA Publishing GmbH.. Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.

 

しかし、これらは完全にこの企画展のテーマから外れているし、当然日本に来ている筈もない。
この展覧会は、フィレンツェで隆盛を誇ったイタリア・ルネサンスの魅力を紹介するのが主旨だからだ。
今回は、ここがどんな美術館なのか知れた事が収穫だったかな。
 
シモーネ・マルティーニのこの絵は、言わずと知れた『受胎告知』の場面である。
天使ガブリエルが、処女マリアに神の子イエス・キリストが宿った事を告げ知らせる挨拶に来た所なのだが、その時のマリアの表情や身のひねり方が、他のどの受胎告知画よりも生々しく描かれていると、この『美しきもの見し人は』で指摘されていた。
堀田善衞の言葉を借りれば、

「アリガタ……迷惑」

 と言ってるようだし、もっと踏み込んじゃうと、「きいてねーよそんなの!何でアタシに?」と、心の中で叫んでいるようにも見える。

シモーネ・マルティーニはゴシック期の画家だけど、表情の描き方はルネサンスを先取りしていたかもしれない。

 

ウフィツィ美術館展に出品されている絵の多くも、描かれている人物の表情が案外生々しかったりして見応えがあった。

印象に残ったのは、水害で4分の1近くが失われてしまった絵画だったり、板に描かれた宗教画が経年でしなっていた所とか、元は1枚の絵だったのに何らかの理由で真っ二つに切られてしまったけど、今回一緒に展示されていたりとか、これらはそれほど有名な絵だとは思えないんだけど、長い年月を経てきた重みというものが感じられて、良かった。

あとは、風景画というジャンルが確立される前に描かれた風景のデッサンがしれっと1枚展示されていたりして、目を惹いた。

 

 あんまり事前に知識を仕入れないままさらっと展覧会を見たので、見終わった直後の印象は薄かったんだけど、その後関連図書を読み始めたりもして、遅ればせながらこの時代への関心が高まってきた。そのうち現地にも足を運んでみたい。