この世はレースのようにやわらかい

音楽ネタから始まったのですが、最近は美術、はたまた手芸等、特に制限は設けず細々と続けています。

10/25 The Monochrome Set / Pat Fish / Peter Astor @Club 251

UK GUITAR POP ANTHEM / TOKYO C86


見に行ってきました。

『C86』と言われても、わたしは1986年当時にこのカセットの存在を知る事はなかった。完全に後追い。


この日のトップバッターはパット・フィッシュ。ライヴを見るのは2年前にジャズ・ブッチャーとしてやって来た時以来で2度目。
このライヴハウスはステージが高くないので、座っての弾き語りは見ている方にはつらいものがあった。
もっとちゃんと姿を見たかったな。前回よりも身体の調子が良さそうだっただけに、余計にそう思った。
ジャズブッチャーはあんまり熱心に聴いてこなかったけど、こうしてまた見るチャンスに恵まれたって事は、ご縁があるんだ。
今度はもっとこの人メインでじっくりと観たいです。


次に登場したのはピーター・アスター。初来日。
こちらも弾き語り形式だけど、スタンドマイクが据え付けられたので、彼は立ち演奏。ようやくまともに姿を見ながら聴く事が出来た。
この人はどちらかというと端正なルックスのせいか、アイドル視されていた部分が無きにしも非ずだったのだが、出て来た姿はなんだか枯れた感じの研究者みたいで、もう、首筋にハッキリと現れた筋!そしてこめかみのピキピキっとした筋ばかりが目についた。
身体は若い頃よりも更にスリムになっているんじゃないかという痩せ具合で、こうなると大病明けを疑ってしまうという…。はぁ〜、誰もが納得出来るように年を重ねるのって難しい事なんだなぁ…。という変な感慨を抱いてしまった。

こんな見ている側の勝手な心配をよそに、演奏が始まってしまえばもうそこは彼独特の内向的世界に一変。
ああ、80年代ってこういう内にこもる、でも周囲を拒絶するのではない、どこか爽やかな透明感を持った音楽がいっぱいあったよな。という感覚を一気に思い出させた。
こないだ初めて日本に来たローレンスさんも、技巧的ではあるけれど、あの時代に独特の繊細さを創り出していた。

でも、ピーター・アスターの演奏はまさしく現役のものだった。その透明感が更に深みを増して、円熟味すら帯びていた。声の艶も昔より良くて驚きだった。
今回のライヴはわたしにとって、『ピーター・アスター再発見』と言えるものだった。


トリはモノクローム・セット。2年振り。
ビドさんは風邪引いてたみたいで、1曲歌う毎にゲホゲホ咳をしていて痛々しかった。
髭柄(!)ジャケット姿のレスターさんは、カンペを持ちながらヘンな日本語をかます。「ちょっとだけよ。あんたもすきね〜。」とか。一つ一つ披露する度に、書かれた紙をちぎって飛ばすという、いつもながら意表を突いたパフォーマンス。

goodbye joeの演奏時に、今までは見た事がなかった、ベースのアンディさんとドラムの2人が、まるでお葬式に参加しているかのようなパフォーマンスが見られた。メンバーの身内に何かあったのだろうか?

今回はThe Lost Weekendからの曲がどれも心に染みたなぁ。どうしてなのかは分からない。


ライヴ終了後に会場が明るくなると、唐突にサイン会が始まっていた。
わたしは事前に告知がない限り、CD等を持参する習慣がないので今回も手ブラ。
しょうがないのでチケットにして貰いました。
スペースが足りないのでモノクロのメンバーはいつも使っているメモ帳に。

それぞれの方々と握手したり少し言葉を交わす事も出来ました。
パットさんは何と手の甲にキスのサービスまで。ギャーこんなおもてなしを受けたのはメイヨ・トンプソンさん以来だわ!更にファンになりましたw

ビドさんに1990年の初来日公演を見たと言ったら驚かれた。
ていうか、ビドさんとこうして直接話しているっていう状況が信じられなかったんですが。
ものすごく緊張した。こんな気分になったのは誰以来だ?わからん。

レスターさんには気軽に話しかけられた。
なんとfeeliesのcrazy rhythmsTシャツを着ていたので、わーフィーリーズだ!みたいにそのTシャツを指さしたら、レスターさんはこのアルバムとバンドを絶賛するようなコメントを述べていたのだけど、何を言ってたか分からず…(泣)。

ライヴを一緒に見ていた友人はレスターさんに、1992年に再来日した時に、法被を着て豆まきパフォーマンスを披露したけど覚えている?と質問したら、全然覚えてないと言った。
「10年前の事だって忘れてるよ。こう(白くなった頭やシワの増えた顔を指す。)だし、こう(でっぷりしたお腹の丸みをジェスチャー。)なっちゃったもん。」

いや、その場の即興を楽しむ方が優先で、過去は振り返らない人なんだよ。彼は。
さすが、アンディ・ウォーホルが目をかけたバンドのメンバーだけの事はある。(いやなんか違う…)


まさかこんなファンサービスのひと時が設けられていたとは思わなかったです。嬉しかった。モノクロのメンバーの皆さん、パットさん、ピーターさん、そしてスタッフの皆さん、どうもありがとうございました!

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風邪を引いていてもタバコは手放さないビドさん。
ライヴ終了後の一服は格別なんだろうな。
ビドさんの着ているこのTシャツが気になった。かわいい。