読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

この世はレースのようにやわらかい

音楽ネタから始まったのですが、最近は美術、はたまた手芸等、特に制限は設けず細々と続けています。

『わたしのマーガレット展』に行って来た。


わたしのマーガレット展

f:id:almondeyed:20140927101820j:plain

ベルばら~~!

マーガレット、或いは別冊マーガレット(以下別マ)は、女の子であれば一度は読んだ事があるはず。
わたしですら読んだ事がある。但し、長女だったせいか、家ではなかなか少女マンガ本を買ってくれなかった。だから、自分の小学生時代に描かれていた漫画は、当時は断片的にしか読んだ覚えしかない。親戚や近所の友達の家にある本を読ませて貰ったり、テレビアニメを見ていたぐらいか。
こんな感じだから別にこの展覧会を見に行くつもりにはしてなかったんだけど、別マ、デラックスマーガレット読者だった妹が見に行くと言うので、ご一緒させてもらった。
妹が子供の時は、家でも普通に少女マンガ本を買って貰えてたのだ。ちぇっ、何で下だとこうなるんだろう?

洗脳作戦!?

展示室に入ると、有無も言わさず先ず、『カレイドスコープシアター』なる上映室に誘導される。
ここで歴代マーガレットの名作の名場面、しかも胸キュンシーンを凝縮したものが怒涛の如く映し出される。
そうだよな〜、少女マンガはこのモノローグが命だもんな。このセリフでどれだけ読者を酔わせるかに掛かっている。
この仕掛けは観客を“少女マンガ脳”に洗脳させる作戦なのだ。されなかったけどね。


原画等は、年代順ではなくジャンル別の区分けで展示されていた。スポーツもの、学園もの、ホラーもの、ギャグ&コメディものなど、結構バラエティに富んでいる。
昔は作品を発表する媒体がそれほど多くなかったから、必然的に色んなタイプの漫画が集まってきたのだろう。
見ていると、意外に読んだ覚えのある作品が多い。すっかり忘却の彼方にあったものが一気に呼び戻された。大谷博子とかいったい何処で読んでたんだ?結構本屋さんで立ち読みしてたのかも。いい時代だった。

昭和40年代〜50年代前半の作品はわたしのテリトリー。ちょっと年が離れている妹は圏外。

紡木たくワールド

マーガレットが創刊されたのは1963年だから、今年は創刊51周年なのに、この展覧会が今開催されているのはきっと、映画『ホットロード』公開に合わせたかったからなのだろう。

ホットロードは単行本で当時、妹から借りて読んだ。主人公よりも遥かに年上の視点で読んじゃったから、ツッコミどころをツッコミまくって読んでいた記憶しかない。だから、今回の展示も一歩引いた目線で見ちゃうだろうと予想していたのだが、わたしよりは数倍素直に読んでいた妹の解説を横で聞きながら、つまり、煽りを受けながら原画を初めて目の当たりにすると、あまりの絵の上手さに驚く。カラーの美しさは特筆ものだ。
それと、単行本だと絵が小さいから分かり難かったんだけど、モノローグの行間に力がある。80年代後半から人物のセリフの字体と独白の字体と大きさを分ける工夫が、少女マンガ全般で定着したんじゃないかと思うんだけど、紡木たくのそれは構成が巧みだった。
きっとこんな表現方法はとっくにファンによって語り尽くされているんだろうが、わたしは今回はじめて気が付いた。勉強になりました。

「春山は 5mそらを 飛んだ」

ゴメン、原作読んでた時に、このシーンでうっかり笑いがこみ上げてきちゃったという酷い人間なんですが、どうも展覧会を見に来ているお客さんの中にもそんな方がいらしたようで、ちょっと安心。いや、安心しちゃダメか。

宮川匡代の破壊力

妹が、会場で是非わたしに見てもらいたい漫画家として挙げていたのが宮川匡代
紡木たくは特別枠、いくえみ綾も壁一面のスペースを与えられていたが、同年代の宮川匡代は見開きカラー1枚と生原稿2ページ分のみの地味な扱いだった。
しかし、この見開きカラー原画1枚を見ただけでも、その逸脱したデッサン力、描写力に痺れた。
見れば見るほど“!?”のマークが頭を飛び交う。

「何故こんなに前髪が豊かなのに眉毛が透けて見えるのだ?」
「女の子が寝そべっているように見えない。うっかりするとお腹の上にもう一人居そうだ。上半身と下半身が繋がってないっ!」
「草むらもパターン化された描き方で遠近感をぶっ飛ばしている。まるで宇宙空間みたいだ!」
「この2人はとても手をつないでいるようには見えない。手の大きさもかみ合わないし、人間の手では再現不可能!しかも女の子の小指が何でこんなに細いの?」

こんな感じで突っ込みまくりながら、暫く原画の前を2人で独占していた。
その間、他のお客さんはここに全く近寄ってこなかった。
すまん。異様な盛り上がりを見せていただろうから、皆さん恐れをなしたのかも。
恐るべし、宮川匡代!←違う


2000年代ものは全然フォローしてないから分からなかったです。
あと、冬野さほは全く取り上げられていなかった…。


最後のコーナーでは、創刊当時から現在までのマーガレットの表紙写真が壁一面に展示されていた。でも、端から端まで見られないのが不満だった。
現在の別マは480~500円ぐらいなのか。結構するんだ。昔の表紙の中には130円と書かれているのもあった。
表紙絵をこうして見渡してみると、やはり紡木たくの表紙の異端ぶりが目立つ。マーガレットでありながら、人物をあれだけの引きで描いて成立させてたのだから。


この展覧会は美術系の展覧会とは違い、もの凄く賑やかでした。
音声ガイドは配布されていなかったんだけど、お客さんの反応や語り自体が解説代わりになっていて、それを聞くのが楽しかった。
少々入場料が高いと感じたけど、こういうファンの肉声を間近で聞ける機会って普段はなかなかないから、このぐらいのコストをかけても行く価値はありました。
わたしは、妹がガイド役になってくれたお陰で、一人で行くよりもずっと楽しかったです。
これは、色んな年代の人と一緒に行くと、より面白く見れるんじゃないかな。