この世はレースのようにやわらかい

音楽ネタから始まったのですが、最近は美術、はたまた手芸等、特に制限は設けず細々と続けています。

ベルニナ (ミシン購入記)

この前、ミシンを買った。

ミシン選びの手始めに見たのは、生協で扱っているジャノメのコンパクトミシンだった。
母親が、こんなのがあるよと教えてくれたのだ。
この機種について詳しく調べようとネットで検索したら、どうもこれは通販限定のモデルらしい。
通販限定ものだと他にどんなのが出回っているんだろう?と思い、調べてみると真っ先に登場したのが『山崎ミシン』。
ネットではユーザーの、このミシンの使い心地が賛否両論真っ二つに分かれていて衝撃を受けた。

ここからミシン選びへの迷走の道が始まったと言ってもいい。

山崎ミシンは新宿にあるカタログハウスのショールームに行って、実物と対面したんだけど、いまいちピンと来なかった。
ミシン本体のデザインなんて、縫う時は見えないんだから、拘る必要はないんじゃないかと思っていたのだが、これを見ているうちにその考えも揺らいだ。
それにこの値段だと、もうちょっと金額を上乗せすれば、もっと機能の多い機種に手が届く。
そこで見た目はさて置き、機能重視で選ぼうとコンピュータミシンを調べ出したら、これが種類多過ぎでお手上げ状態。


そのうち、あるメーカーの特定機種のみが、ネットでの価格表示を禁じている事に気付く。
販売価格は、それを扱っている店舗に直接電話かメールで問い合わせる仕組みになっていた。
で、数カ所問い合わせてみると、案の定価格はバラバラ。
あるお店からは、今の在庫があと数台で、来月から仕入れ価格が上昇するから、買うなら早くした方がいいとまで言われた。
まだ実物を触った事すらないから決められないよー!
という事でそのまま放置。

その後、実際にミシンが置いてある実店舗、手芸店やら家電量販店を回ってみたのだが、これもお店によって置いてある機種がバラバラでまた混乱の境地に陥る。
会社の近所にある手芸店なんて、売物なんだろうかこれ?と思わせる、中古か新品かも分からない、ちょっとマニアックに見えるミシンがごろんと数台置いてあった。

実際にミシンを触らせて貰いたいとお店の人に頼むっていうのも、自分みたいな小心者にとっては結構ハードルの高い行為だ。

そんな事を思いながら大手の手芸店でミシンを見ていた時に、全然触らずにそこにある1番安いミシンを購入していくお客さんに遭遇した。
ここで扱っている商品だから別に変なものじゃないだろうという判断だったのだろう。
そういう選び方もありなのかもしれない。


暫くして、会社の休み時間にまた近所の手芸屋さんに行ってみたら、前回行った時は無人だったミシンコーナーに、その日は男性が座ってミシンを操作していた。
そういえば、以前ここで買い物をした時は、ミシンの音がしてたっけ。
あの時は全然ミシンに興味がなかったから、気にしていなかった。
でも今回は興味深々でこのコーナーを見ていた。
なんせ、ネットでは全然注目していなかった刺繍機能搭載のでっかいミシンとか、海外ものが置かれていたので。

思い切ってそのミシンを操作していた男性に、ミシンについての質問をしてみた。すると、

「家庭用ミシンの中でまともに縫えるのはベルニナだけです。」

と、ベルニナミシンを目の前にして断言されてしまった。ええ〜っ、じゃあ、あれだけ出回っている他の家庭用ミシンは全滅なのかよ!?

その人曰く、国内で販売されているミシンは1000種類を超えるのだそうだ。
ミシンを使う人の中には買い替えを繰り返す、言わばミシンジプシーになってしまう人もいるという。
お気に入りのミシンに出逢えないまま一生を終えてしまう人も中にはいる。
そのぐらい、ミシン選びというのは難しいのだと。
おいおい、話がでかくなってきたぞ。

今のミシンは殆どが水平釜だけど、これでは糸がよじれて出て来るからまともに縫えない。
ベルニナは昔ながらの垂直釜だからしっかり縫える。
ああ、やっぱりそうなんだ。どうも昔の足踏みミシンがわたしにとっての初ミシン体験だったせいか、ボビンケースがないミシンは何だか頼りなさそうに見えていたのだ。

ベルニナはどんなに古い機種でも部品調達が可能なのだそうだ。だからずっと使い続ける事が出来る。
これはいいなと思った。

こんな感じで、実演も交えながら昼休み終了時間ギリギリまでミシン談義がノンストップで繰り広げられたのであった。
この時点でかなり、このベルニナミシンに気持ちが傾いていた。
ガシガシ縫っている姿が頼もしかったので。
こんな寂れた手芸屋さんの一角で、そんな凄腕のミシンがひっそりと売られていたとは!
この、昭和な雰囲気を濃厚に残す店に置いてあると全然最新機種に見えないので、「中古なんですかこれ?」と訊いたら、最新型ですよと突っ込まれた。
更に、ここにあるだけで見た目が二割減に映るという残念な店内ディスプレイなのだが、よくよく見ると凄くオシャレなデザインだった。

当初考えていた予算を遥かにオーバーする価格なんだけど、「スイス・日本国交樹立150周年 記念キャンペーン」で、少々お安くなっていた事が決定打となり、購入に至った。
これ、半年も前から始まっていて、8/20で終了だから、ギリギリ間に合った。


自分のものになってみて分かったのは、ミシンというのは家電品というよりも、乗用車やバイクに近い物なのだという事。
相性の問題で、いくら性能の良いベルニナだって、モーター音が硬くて馴染めない人がいると思う。
でもわたしにはしっくり来た。
少々乱暴に扱っても壊れそうにないし。
何よりも、このミシンを使う時は気分がワクワクする。


ベルニナで縫ってみた。

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フンドシです。

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これを縫う為に高価なミシンを買ったのか!と突っ込まれそうだ…