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この世はレースのようにやわらかい

音楽ネタから始まったのですが、最近は美術、はたまた手芸等、特に制限は設けず細々と続けています。

キネティック・アート展

不思議な動き キネティック・アート展 ~動く・光る・目の錯覚~

先日、この展覧会のweb内覧会に参加してきました。

記事内の画像は、美術館から特別に許可を得て撮影したものです。

アナログ・テクノロジー
キネティック・アートとは「動く芸術」のこと。
作品そのものが、モーター等の動力で動くものもあれば、鑑賞者自らが動く事によって、動いて見える作品もある。
それから、人間の知覚によって、ある筈のないものが画面に見えてくる、すなわち錯視を利用した作品(オプ・アート)も、この名称の中に含まれるようだ。
 
1950年代〜60年代にかけて、イタリアを中心にしてこの芸術は盛り上がりを見せた。
機械文明が発達し、ものごとがスピーディーに進むようになった20世紀初頭に、動きそのものに美を見い出す価値観が生まれたのだろう。
イタリアではその頃、『未来派』という芸術運動が盛り上がりを見せた。
キネティック・アートの理念は、その流れをくむものなのだ。
 
当時は最先端だった技術を駆使した作品も、今見るとなんとも動きがぎこちなくて、却ってアナログちっくな味わいがある。
リメイクしたものではなく、当時作られた作品がそのまま来ているので、不具合が生じている作品が幾つかあった。例えばこれ。
 

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ジュリオ・ル・パルク『赤い横縞柄の曲技的な形』(1968年)

 この日は下半分のモーターが機能していなかったんだけど、まあ、それはそれで味わい深かった。
 
 イタリア人の作品が多いせいか、作品には陽気で華やかな雰囲気を感じさせるものが多い。
 

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グラツィア・ヴァリスコ『変化するHG AL(水銀)+Q151』(1965年)

これなんてキラキラ光ってて可愛かった。

仕掛けは単純なんだけど、効果は抜群。

 

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グルッポMID『円形マトリクスの発生装置2』(1966年)

これなんかは蛍光灯のチカチカを利用して黒い丸がパチパチするところがちょっと線香花火みたいで綺麗。

 と、言葉で説明するより映像で見た方がいいか。


不思議な動き キネティック・アート展 - YouTube

 

 キネティック・アートの作家達は、個人名ではなくグループ名で名乗っていたところが、ロックとかのバンドみたいで面白いなと思った。

アー写もかっこいいのだ。

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グルッポT

 

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グルッポN

 

日本のキネティック・アートといえば、こないだ見に行った佐藤慶次郎の作品が先ず思い浮かぶんだけど、この人の作品からは禅とか祈りとか、東洋的なテイストが感じられる。

このキネティック・アート展には、ちょっと祝祭的というか、お祭りのような賑やかさがあるから、ずいぶん違うなと思ったものだ。

 


bruno-munari-colonna-9-sfere-1962-milano-arte-programmata - YouTube

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ブルーノ・ムナーリの企画により実現したミラノのオリベッティ社ショールームでの「プログラム・アート」展(1962年)
 

会場内で流れていたこのビデオ映像がなんとも魅力的で見入ってしまった。

1962年に、ミラノのオリベッティ社ショールームで開催された『プログラム・アート展』の会場内の映像。

出品作家はブルーノ・ムナーリ、エンツォ・マリ、グルッポT、グルッポN。

この展覧会がキネティック・アートの評価を高め、この名称を定着させるきっかけになったようだ。

この映像を見ているだけでもワクワクしてくる。この時代にタイムスリップして見に行きたいと思った。

ブルーノ・ムナーリ展は現在こちらで開催中。
 
キネティック・アート展は8月24日(日)まで開催中。
この展覧会は、ただ仕掛けを楽しむのも良し、20世紀初頭からの美術の潮流、主にデザイン分野について勉強するのにも、きっと役に立つと思います。