有名画家の子供たちが見られる展覧会。
先日この展覧会のブロガー向け内覧会に参加してきました。
この企画展は、2009~2010年にかけて、パリのオランジュリー美術館で開催された、『モデルになった子供たち』という展覧会がベースになっているそうです。
そのためか、出品作品はかなりフランスものに偏っていました。
それでも、全87作品中の3分の2は日本初公開なので、すごく新鮮な印象でした。
それもそのはず、出品作品の約半数は個人蔵なのです。
なので、到着が遅れてオープニングに間に合わなかった作品も一点あったそうで。
もしかすると、この先二度と観られない作品も今回展示されているのでは?
※画像は美術館より特別に写真撮影の許可を得て撮影したものです。
会場入口でルソーのこの絵を模したレゴに出迎えられた。ぶ、不気味だ~!
アンリ・ルソーは数多くの子供や赤ん坊の絵を描いたが、現存するのは4点のみらしい。
この『人形を抱く子ども』はそのうちの貴重な一点。
この、木馬にまたがった子供はなあんとクロード・レヴィ=ストロース。
父親のレイモン・レヴィ=ストロースは画家だった。
内覧会のレクチャーで、”この中でいちばん賢い子供”と紹介されていたが、もしかするといちばん長生きした子供でもあるかもしれない。
このリボンをつけた可愛らしい子は、ルノワールの息子でのちに映画監督になるジャン・ルノワール。
ジャン・ルノワールといえば、ルキノ・ヴィスコンティがシャネルの紹介で、ルノワールのもとで助手を務めたというエピソードを思い出す。
ヴィスコンティもやはり、幼少時は女の子の格好をしていた。一緒じゃん!
この時代はまだ、子供、特に男児の死亡率が高かったので、男の子はある一定の年齢になるまで女の子の格好をさせられていたのだ。
もしかして、レヴィ=ストロースの格好も女の子のつもりか?髪が短いのでそうは感じなかったのだが。
レクチャーでは、かつて日本でもその風習はあったと言っていた。例えば三島由紀夫もそうだったとか。
この展覧会はフランス絵画が多いと書いたが、序章のコーナーにはローレンス・アルマ=タデマの作品があった。おお、こないだ見に行った唯美主義つながりだ。
三島由紀夫の名前が出て来たのでちょっと話を逸らすが、アルマ=タデマの代表作『ヘリオガバルスの薔薇』って、ヘリオガバルスが大量の薔薇の花弁を降らせて、下にいた人達を窒息死させた場面が描かれているんだけど、あれって三島由紀夫の『薔薇刑』と何らかの関わりがあるんだろうか?
と、この展覧会を見ながら連想していた。
ピエール・マティスは画商になった人だが、何とバルテュスもこの人の肖像画を描いている。こちらは大人になってからのだけど、現在バルテュス展で展示中。
2点同時に見られるなんて本国フランスでも滅多にない事なのではないか。
バルテュス(クロソフスキー)家は芸術一家だった。自ずと芸術関係の人達がモデルとなって現れる。
芸術家という家業は代々受け継がれて行く事が多かった。
この展覧会のオリジナル発案者である、オランジュリー美術館の元館長エマニエル・ブレオンの家系もまさにそう。
祖先であるデュビュッフ家一族の肖像画を並べる事で、家系のつながりを再確認するという狙いもあったみたいだ。
他にも、なにげにレンピッカの作品も出ているし、レオナール・フジタが第二次世界大戦後の近代的モティーフを描いているのも驚きだったし、小品が多い割には見所の多い展覧会でした。見ていて楽しかったです。