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この世はレースのようにやわらかい

音楽ネタから始まったのですが、最近は美術、はたまた手芸等、特に制限は設けず細々と続けています。

大江戸と洛中 ~ アジアの中の都市景観 ~

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紅葉山東照宮御簾

開催中の特別展│展覧会情報│江戸東京博物館
先日、この展覧会の夜間特別内覧会に参加してきました。
※文中の画像は許可を得て撮影したものです。


この企画展は、タイトルが気になっていた。
洛中というと、洛中洛外図に見られる俯瞰図が先ず頭に浮かぶのだが、それと都市景観という言葉の持つイメージとが、どうも結びつかない。
勝手なイメージだけど、都市を景観するというと、人間の目線に合わせて下から見上げる事をそう言うのではないかと思ったのだ。
意外と知られざる資料が展示されているのではないかと、ワクワクした。

が、実際見てみると、この展示テーマはあくまでも都市構造に目を向けたものであって、建物の高さとか道路の広さとか、ヴィジュアル面の景観についての明確な解説はなかったように思う。

今回の展示で、自分の中ではおそらく初めて、たくさんの洛中洛外図や都市屏風図を眼にした事になるのだが、それらを見ているうちに、日本人って風景をフワフワと身体を宙に浮かせた視点でしか捉えていなかったのかなぁ?という疑問が。
ここで以前読んだこの本の事を思い出していた。

"間"の構造―文学における関係素

洛中洛外図の、位置的には正確に描かれたであろう俯瞰図も、描くと都合が悪いんだか、描くのが面倒くさいのかは分からないけど、雲を這わせて覆い隠してしまう構図。ううむ、改めて日本人の本質を見たような気が。

それでも、展示されている明治初期に撮られた江戸城周辺の写真や、外国人が江戸を紹介する為に描いた挿絵などといった外からの目線を見合わせてみると、地面に足をつけて見た江戸の風景が何となく想像出来て面白かった。

そして逆に、日本で江戸時代に描かれた世界地図も展示されていた。
当時から既に世界の位置関係がここまで把握出来ていたというのに驚く。

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十二都市図世界図屏風
まるで西洋画じゃないかこれは。


江戸時代の代表的な都市と言えば江戸と京都だが、京都はアジアの伝統的な都市設計図と言われる都城制に基づいているのに対し、江戸は徳川という武家が中心となって造った武家都市だった。
その為か、江戸の地図は京都や中国の諸都市の様に直線的な構造をしていない。
今回の展示では、普段お目にかかる事の出来ない中国や京城の古地図なんかも出品されていて、凄く面白かった。いつか時間をかけて、細部を観察したい。

こういうのを見ているうちに、この前東京国立近代美術館の常設展示室で見たこの作品を思い出した。

和田三造『興亜曼荼羅』(1945年)

江戸は将軍都市とは言っても、やっぱり中国やアジアの都市を参考にしながら都市造りをしたから、冒頭に上げた東照宮御簾のデザインはどこかエキゾティックな仕上がりになっている。
そして、昭和になってもコスモポリタンな都市のイメージは、あくまでもアジアンテイストだ。


江戸時代については、今まで時代物ドラマとかを真面目に見てこなかったせいか、全然専門用語が頭に入ってなくて、観覧途中で行なわれた学芸員さんによるレクチャーも、チンプンカンプンになりながら聞く羽目になってしまったのだが、今回の展示は、都市構造そのものに興味を抱くいいきっかけになりました。


とにかくでかい展示物が多くて、数的には物足りなさを感じるかもしれないけど、古地図好き、設計図好き、甲冑、具足好き、そして景観図屏風好きの方には堪らない展覧会だと思います。
それに、わたしのような都市ものに興味がある人にもおすすめします。

  • 会期:2014(平成26)年5月11日(日)まで。
  • 開館時間:午前9時30分~午後5時30分(土曜日は午後7時30分まで)*入館は閉館の30分前まで。
  • 休館日:5月7日および毎週月曜日(ただし、4月28日・5月5日は開館)。