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この世はレースのようにやわらかい

音楽ネタから始まったのですが、最近は美術、はたまた手芸等、特に制限は設けず細々と続けています。

ザ・ビューティフル 英国の唯美主義 1860-1900

ザ・ビューティフル 英国の唯美主義1860-1900|三菱一号館美術館

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先日、この展覧会のブロガー内覧会に参加してきました。

※画像は許可を得て撮影したものです。


この日はナビゲーター役として、『弐代目・青い日記帳』というブログを運営している中村剛士さんをお招きし、この展覧会の担当学芸員である加藤明子さんから、本展に出品されている重要な作品を何点かピックアップしてもらい、見どころを分かりやすく、対話形式で解説してくれました。
こういう形式の内覧会ははじめてだったのですが、ナビゲーターさんはとてもよく通る声でテンポよく話を進めてくれるので、まるでラジオのトークショウ番組を聴いているようでした。
展覧会場でレンタルする音声ガイドもいいんですが、やはりリアルタイムの生声で解説を聞いた方が、すんなりと頭に入るんだな~と、改めて思いました。


さて、この展覧会は19世紀後半のイギリスで起こった唯美主義そのものに光を当てて、今まで各ジャンルごとバラバラに紹介されていた作品を一括りにして展示するという、初の試みなのだそうだ。
この企画展は今までにロンドン、パリ、ロサンゼルスを巡回してきたのだが、各都市ごとに展示の仕方が異なっていて、ロンドンとパリの展覧会を観た美術館館長さんによると、全く別の展覧会を観たかのような印象だったらしい。
今回も、会場になっている三菱一号館美術館の雰囲気に合わせてカスタマイズした展示になっているようだ。

日本にある19世紀型英国式建物内で、ジャポニズムまみれの作品を観る。

展示されている作品の多くに、日本を彷彿とさせるモティーフが刷り込まれていた。
いやもうこんなに?っていうぐらいに。

冒頭の画像にあるフレデリック・レイトンの『母と子(さくらんぼ)』(1864-65年)なんかも、一見普通に親子を描いているようだけど、まずこの時代に、室内の地べたに寝そべるというのがありえなかったポーズだし、母と子の絡みも、構図的に歪んでいて描き方が不自然だ。
背景には屏風図も描かれていて、これは明らかに浮世絵を意識している。
という事をいちいち読み解かなくても、人物像が美しく描かれているので、見ているだけでうっとりする。
今回、この絵に出会えたのはかなりの収穫だと思いました。


ジャポニズムの画家といわれたホイッスラーの作品も数多く紹介されている。
目玉作品として、ノクターン・シリーズの『黒と金―輪転花火』(1875年)が出品されているのだが、どうやらこの絵がまさにジョン・ラスキンの怒りを買ったらしい。
それ故に、この絵はもの凄い高額の保険がかけられているようだ。展示室の警備もここが一番厳重だそうで。
が、そんな鳴り物入りだという事が、画面の暗さでどうにも伝わりにくかったりする。
写真撮っても真っ黒くしか撮れないだろうから断念しました。
この作品も、夜の川辺で打ち上げ花火を見るという画題そのものが浮世絵的だ。
画面は焦点が定まらずボーっとしていて、抽象画を思わせる。

ラスキンはこの絵を見て、「公衆の門前で絵の具をぶちまけただけだ。」と怒り狂ったそうだ。
この怒りこそが、それまでの絵画表現である細密描写、意味のあるモティーフを描きこむというお約束事からの決定的な脱却を、このホイッスラーの作品が突きつけた事を意味している。
ラスキンは、絵画が無意識の表現を可能にしている事に気づいていたから、この絵に拒絶反応を起こしたのだろう。


しかしまあ、19世紀後半の英国ではこのような日本かぶれの絵画が盛んに描かれていて、かたや日本ではこの三菱一号館のように、当時英国で流行ったスタイルの建物が、一丁倫敦と呼ばれた地域に建てられていたんだから面白いよな。
今の三菱一号館は、復元と言う名の、いちおうまだ新しいと言われる建物だからなぁ。
なんだろう、展覧会の格調は高いけど、全てにおいてオリジナルはどこ?っていう雰囲気が漂っておりましたわ。

英国ポップカルチャーの原点?

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オスカー・ワイルド、オーブリー・ビアズリー等、書物における唯美主義運動も紹介されていた。
ワイルドは、英国よりもむしろ、米国で熱狂的に迎えられたんじゃなかったっけ。
英国カルチャーは海を渡った。それは、20世紀にもポップカルチャーの形で繰り返す。


ジャポニズムといえば、わたしが英国ものに興味を抱き始めた時期も、英国では俄か日本ブームが巻き起こっていた。

http://instagram.com/p/lzG9SMEPlX/
The Face 1982年2月号。写真家シーラ・ロックが当時の東京の姿を取材している。

JAPAN!

http://instagram.com/p/lzH_nYEPmM/
ジャパンスペシャルだからという訳じゃないけど、同誌見開きにはデヴィッド・シルヴィアンの美麗写真も掲載。記事の内容はJAPAN解散の経緯など。

展覧会を観ながらこの辺の時代の事を思い出していました。懐かしいわw

5月6日(火・祝日)まで開催中。