この世はレースのようにやわらかい

音楽ネタから始まったのですが、最近は美術、はたまた手芸等、特に制限は設けず細々と続けています。

ラファエル前派展

テート美術館の至宝 ラファエル前派展 英国ヴィクトリア朝絵画の夢

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開催を楽しみにしていたこの展覧会を観てきました。今回は内覧会鑑賞時の感想なので、しょぼいんですが画像も添えてあります。

※画像は主催者の許可を得て撮影したものです。

 

今回の展覧会は、ラファエル前派を象徴する作品を一気に見ることができるまたとないチャンスだ。

もしここにウォータハウスの『シャロットの女』(1888年)も加わっていたら、更に凄い事になっていただろう。

なんて、欲張ったらキリがなくなるんだけど…。

 

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ジョン・エヴァレット・ミレイ『オフィーリア』1851-51年

この絵の前にはさすがにいつも人が立っていた。*1

 

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ジョン・エヴァレット・ミレイ『両親の家のキリスト(「大工の仕事場」)』1849-50年
 
展覧会は、絵画自体はもちろんの事、額のゴージャスさにも目を奪われる。
上手く撮れなかったのでUPしないけど、ロセッティの絵の額には日本の家紋みたいなマークが浮彫になっていた。額も彼自身によるデザインみたいだ。
ロセッティの『プロセルピナ』のポーズなんて、浮世絵の大首絵を彷彿とさせるし、日本美術からの影響を感じた。

 

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登場人物達の人物相関図もパネル展示で詳しく説明されている。
 
 

テート美術館の至宝 ラファエル前派展 英国ヴィクトリア朝絵画の夢 » 映像作品「Ophelia has a Dream」と夢の競演!

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もう公開は終了してしまったのですが、こちらの映像作品も見てきました。

作品空間の中に自分の身を置くと、雨に打たれるようなヴァーチャル体験をもたらす効果が施されていました。

 

 

六本木ヒルズの構造も、いわゆる『シャワー効果』みたいなものか。

この展覧会からは離れるんですが、わりかし最近、1976年に銀座三越で開催されたラファエル前派展のカタログを古本まつりで入手しました。

驚いたのは、本の中に出品作品の目録が挟まっていたんですが、そこに価格が書かれていた事です。

この中で最も高かったのはエドワード・バーン=ジョーンズの『復活の朝』(1882年)で九千五百万円也。

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油彩画はそれなりに高いけど、水彩画は数十万円の評価額なので、意外と手頃?なんて思っちゃったんですが。

今から40年ぐらい前だから、貨幣価値はかなり変動しているんだろうけど。

これは販売目的で開催された展覧会だったのだろうか?

出品されていたのは、美術館所蔵の作品ではなく、イギリスの画廊から貸し出された作品だったようだ。

更に驚いたのが、開催期間が2月17日~22日の、たった6日間!

やっぱりこれは「デパートの催事」ってやつだったのか。

展覧会開催中に売れた作品もあったんだろうか?

 

今回、森アーツセンターギャラリーでの展覧会を観て遅ればせながら、ラファエル前派が描いてきた画題等が、一連の流れに沿って展開されたというのが把握できたのだが、この、おそらく日本ではかなり早い時期に開催されたラファエル前派展でも、出品作品はそんなに多くないけど、ちゃんとそのテーマに沿って過不足なく紹介されていた。代表作そのものは来ていなかったけど、手抜きはしてない。

 

昭和の時代における美術の扱いって、デパートが主導権を握っていたことからも分かるように、屋上などで行なわれていた興行なんかと同等だったのだろう。

今、昭和時代にデパート等の、いわゆる美術館以外の場所で行なわれた展覧会の開催期間を見返してみると、思いの外短かいことにビックリしている。

でも、短かいから見逃さないようにせっせと足を運んだ事によって、いまだにずっと印象に残っている展覧会もあったりするのだ。当時は若かったから感受性が鋭かったというのもあるけど。


ほとんどのデパートが美術館を持たなくなってから久しい。

今、その代わりを担っているのが、六本木ヒルズみたいな巨大雑居ビルなのかなぁ?と、ここでラファエル前派展を見終わった時に考えたりした。

ラファエル前派展は4月6日(日)まで開催中。まだまだやってるよ~。もう1回観る予定。

*1:内覧会でしたが一般のお客さんも一緒に鑑賞しています。