この世はレースのようにやわらかい

音楽ネタから始まったのですが、最近は美術、はたまた手芸等、特に制限は設けず細々と続けています。

西田宏道展

@Echika池袋ギャラリー


西田宏道(1918-2012)は、池袋モンパルナスの活動拠点のひとつである、さくらが丘パルテノンにあったアトリエの、多分当時を知る最後の住人であった人。
同じく池袋モンパルナスの一員であった長澤節が開いたセツ・モードセミナーでは、事務職を担当し、長澤節が死去するまで、ずっとその仕事に携わっていたのだ。


現在池袋では『第8回 新池袋モンパルナス 西口まちかど回遊美術館』なる催しが行われていて(29日まで)、西田宏道展は、このイベントの一環として開催されている。
エチカ池袋ギャラリーでは以前、長澤節の作品も展示されていた。
そういう繋がりもあって、このスペースが使われているのだろう。
しかし、殆ど予備の情報を持たぬまま、いきなりこの展示に出くわしたものだからビックリした。
何にビックリしたかというと、セツに通っていたにも関わらず、いつも受付にいたこの方の存在を、この展示を観るまですっかり忘れていたという事だ!
手続き等の件で、いろいろとお世話になった筈なのに…、申し訳ない!
しかも、こんなに瑞々しい作品を描いていたなんて…、今まで全く知らなかった!


自分の中では勝手に、セツ先生がお亡くなりになった時が、本当のセツ・モードセミナー時代の終焉だったと思っていたのだが、セツ先生より1つ年下の西田さんは、昨年までご健在だった。
もしセツ先生が不慮の死を免れていたら、きっとこの方のように天寿を全うされたであろう。
展示されている自画像から、
「自分は弱くなりながらも、まだこうして生きながらえて、世の中を見続けているのだ。」
というメッセージが感じ取られた。そして、
「ああ、まだあの時のセツは終わっていなかったんだ!」
そんなショックに似た感情が、自分の体の中を駆け巡った。



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『画魂』
これはセツオリジナルの画板に“描かれた”作品。
(ガラス越しなのでちょっと不自然な画面に写っています。ご了承ください。)
画板としての役割から、どんどん作品として変容していったものと思われる。
これと同じデザインの画板を、わたしもセツ入学時に購入した。
しかし、卒業後は全く使っていないから、表面はつるんとしたままだ。
こんなにボロボロになるまで使い込まれていない。
自分はなんで絵を描くことを諦めてしまったのだろう。。。。


自分の中でまたいろいろと考える切っ掛けを与えてくれた展覧会でした。
30日(木)まで開催中です。