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この世はレースのようにやわらかい

音楽ネタから始まったのですが、最近は美術、はたまた手芸等、特に制限は設けず細々と続けています。

すべての僕が沸騰する 村山知義の宇宙

@神奈川県立近代美術館 葉山館


村山知義(1901-1977)の、初期のアヴァンギャルドな芸術活動を中心に、晩年に至るまでの活動を追った、初(!)の本格的な個展。(既に終了)
この人は、絵画などの平面的な作品にとどまらず、建築、室内装飾、舞台美術や演出、商業デザイン、小説、女装ダンス等々、いろいろ手がけていて、活動範囲がムチャクチャ広い!
そのせいか、展示作品を見ているうちにだんだん、「この人って結局何者だったんだ?」という疑問符がムクムクと湧き上がってきた。

忍者?

海野弘 本を旅する

海野弘 本を旅する


展覧会を見に行ったあと、たまたまこの本を手に取った。
そこに、『忍びの者』についての短いエッセイがあった。

私もすっかり忍者に夢中になってしまった。そのうちに、都市のアンダーワールドとそこにうごめく見えない情報を運ぶ人を忍者ではないかと思うようになった。
ずっと後になって、私は村山知義が、日本の一九二〇年代におけるアヴァンギャルドであることを知った。二〇年代から忍者の世界へという飛躍に興味をそそられた。アーティストも忍者であるかもしれないと思った。


ベルリンでショックを受けたダダや構成主義を、東京に持ち込んだかれは、すぐさまそれを広めようと全力疾走する。
その影響は瞬く間に広がっていった。
その様子を見て、確かな手応えを感じたに違いない。


展覧会の、ベルリン時代のセクションに、当時の小さな新聞記事が展示されていた。
ミュンヘンの万国美術博覧会に作品が入選した時の記事だった。
日本人では2人が入選した。1人はフルネームで紹介されていたが、村山知義は「T村山」の表記だった。かれが日本画壇の外側にいた謎の存在であった事を、この記事は如実に表していると思った。


それから、「マヴォ(Mavo)」の、縦横上下左右自由自在なレイアウトにも、どこか重力無視で動きまわる忍者のイメージが感じられる。


忍びの者〈1〉序の巻 (岩波現代文庫)

忍びの者〈1〉序の巻 (岩波現代文庫)


いつか読んでみよう。

以下、雑感。


この展覧会でニディ・インペコーフェンの踊りをはじめて見たんだけど、すごく惹き込まれた。村山知義が彼女にインスパイアされて踊りだしたのはよくわかる。
大野一雄が、ラ・アルヘンティーナの踊りに衝撃を受けたのも1920年代。
そして、当時日本には崔承喜という、東洋を代表する舞姫がいた。


花王石鹸のパッケージデザイン。村山知義も応募してたのか!
その前に見てきた「原弘と東京国立近代美術館」展には、採用された方のデザインが展示されていた。
同時期に入選作と落選作を見ることが出来るなんてね。


原弘は、戦前の時代に今でいう“マルチメディア”の可能性を予見していたそうだ。すごい。