この世はレースのようにやわらかい

音楽ネタから始まったのですが、最近は美術、はたまた手芸等、特に制限は設けず細々と続けています。

モノミナヒカル展 ― 佐藤慶次郎の振動するオブジェ

@多摩美術大学美術館


佐藤慶次郎(1927-2009)は作曲家であり、戦後の日本前衛芸術を率いた実験工房のメンバーだった事もあり、後に独創的なエレクトリック・オブジェを制作するようになった。
このところ実験工房関連の人物をチェックしだしているので、この方も引っかかってきたのだが、正直、どんな人物なのか全然知らなかったし、どんな作品が展示されているのか皆目見当も付かなかった。
でも、TVでチラッと会場内の様子が紹介されているのを見ただけで、ピンと来るものがあった。それは、ミニマルで何か深いものがありそう、という予感のようなものか。
いやー、やっぱりこれは面白かった!


特に、磁力を利用して勝手に動き回っているオブジェは、幾ら見続けても見飽きない。
偶然に委ねた振動と、それに付随したノイズは、まるで日常生活の中で聞かれる騒音のようでもあった。


あと、会場で初めて触れた“エレクトロニック・ラーガ”も、こっちの感情を反映するような音を発するので面白かった。ポータブル版が発売されれば欲しいとまで思ったぞ。


オブジェは一見単純な構造に見えるから、『大人の科学』の付録に出来ないかな?なんて思ったんだけど、無理か…。


それと、収集した骨董品も展示されていたのだが、何故かどれもモダンな形に見えた。年代を見ると平安末期とか鎌倉時代とか、半端なく古かったりするんだよなー。


佐藤慶次郎に宛てたジョン・ケージからの手紙なんかも展示されていた。ジョン・ケージの直筆手紙って初めて見た。残念ながらちゃんと読めなかったけど。結構癖のある字を書いてたんだな、この人は。


と、取り留めのない印象しか書けないのがもどかしかったりする。とにかく、今でもチラチラと動き回るあの細かい物体が、自分の体の中を駆け巡っているような気がするのだ。