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この世はレースのようにやわらかい

音楽ネタから始まったのですが、最近は美術、はたまた手芸等、特に制限は設けず細々と続けています。

牛島憲之 ―至高なる静謐― 展

渋谷区立松涛美術館


この前、府中市美術館で「江戸の人物画」展を見て来ました。凄く面白かったです。出品リストを見て、前期を見逃した事を後悔しました。レコードに例えるならば、前期はA面で後期はB面のようなセレクト。かな?


府中市美術館に足を踏み入れるまで、ここが牛島憲之の記念館も兼ねているという事を全然知りませんでした。ちょうどTVで松涛美術館の牛島憲之展が紹介されているのを見て、「これ、見たい!」と思っていた所だったので、府中市美術館の常設コーナーを見た時はビックリしました。牛島氏に呼ばれてるのかと思いました。
しかしここで見た時は、主要作品があらかた松涛美術館に行ってしまったせいなのか、はたまた江戸の人物画展があまりにもインパクトでかかったせいなのか、期待したほどの印象を得られず。いや、良かったんですがね。ミュージアムショップにあった牛島作品のポストカードもすかさず買っちゃったし。全種類は買わなかったんですが。
ここで作っているポストカードは、じっくり見るとかなりいい作品が揃っています。この日は10枚以上買いました。この充実ぶりを発見出来たのは収穫。


牛島憲之(1900-1997)は、20世紀が始まる頃に生まれたので、モダニズムの流れを引き継いでいるのだと思う。タンクや水門や鉄橋等の近代建築を好んで描くところにそれを感じます。


終戦直後に描かれた「残夏」という作品は、糸瓜がボーっと生っている風景の奥に、買い出しの荷物を背負っている男の姿が不鮮明に描かれている。この男は作者自身らしい。自画像でありながら、まるで見知らぬ人を眺めるような眼差し。うだるような暑さ。そして、戦争による喪失感と、まあ、どうにかなるさという希望。そんなものがないまぜとなった、不思議とリアリティのある絵だった。この絵を見る事が出来て良かった。


つんつん尖った樹木の形を見て、「抒情派岡本太郎」とか、「湿度を加えたローレンス・ローリー」とか、しょうもないキャッチコピー(?)を思い浮かべながら鑑賞していたのでした。