この世はレースのようにやわらかい

音楽ネタから始まったのですが、最近は美術、はたまた手芸等、特に制限は設けず細々と続けています。

深井克美の絵

神田日勝鴨居玲と来たので、次は深井克美(1948-1978)。


鴨居玲と深井克美は、坂崎乙郎の名前を出すと急接近する。


神田日勝と深井克美は1998年に、練馬区立美術館で2人の展覧会を開催していた。残念ながらこれは見逃す。終わって1〜2年ぐらい経って、別の展覧会を見に行った時に、この展覧会の図録を会場で発見して驚愕し、見に行った方ではなく、こちらの図録を買い求める。その時は神田日勝の絵しか知らず、この図録によって初めて深井克美の作品を知る。衝撃だった。しかし余りのインパクトに後ずさりし、それ以来本そのものを開かなくなってしまったのだが、今回、鹿追町神田日勝の絵にお目にかかり、帰宅して久し振りに本を開いてみたら、何故か深井克美の絵の方に強く魅きつけられ、逆に目が離せなくなってしまった。


神田日勝は練馬で生まれて北海道に移住し、鹿追で亡くなる。深井克美は北海道で生まれた後、上京し、練馬で亡くなる。更に言うと、神田日勝の生まれた場所と深井克美が自殺を遂げた場所とは、そう離れていないらしい。


両者の絵は北海道立近代美術館に所蔵されているので、わたしが深井克美の絵をこの美術館で見ていたとしてもちっともおかしくないのに、不思議な事に全く見た覚えがない。


NO ALBUM 無題

NO ALBUM 無題


ブラッドサースティ・ブッチャーズの最新アルバムのジャケットには、深井克美の絵が使われている。
彼らも北海道出身だった。そういえば。
この「ランナー」という作品は、彼の絶筆で、未完成。
この絵は果たしてどう仕上げるつもりだったんだろう?
想像の域を出ないけど、恐らく、他の完成作とはかなり趣の異なる作品になったのではないかと思う。
他の作品は、ご存知ない方は検索してご覧になってみて下さい。もっと重い色彩の、凄まじくも幻想的な絵です。


鴨居玲の絵を実際に見るまで、えらい時間がかかっちゃったけど、深井克美の絵を見るチャンスもなかなか巡っては来ないんだろうな。