パリ 地下都市の歴史
- 作者: ギュンターリアー,オリヴィエファイ,G¨unter Liehr,Olivier Fa¨y,古川まり
- 出版社/メーカー: 東洋書林
- 発売日: 2009/09
- メディア: 単行本
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パリの地下深くには何と採石場があったのだ。だからあちこちに穴が開いていて、海綿状態なのだと言う。その地下の洞窟や坑道の映像を数年前にTVで見て、この迫力ある空間にもの凄く興味をそそられた。これは紛れもなき「秘境」だ!
一昨年のフランス旅行を計画している時も、地下に潜る手段を探そうと思ったんだけど、調べあぐねて、挫折。
実際にパリを歩いてみたら、目の上の景色を見るだけで精一杯だったんだけど。
そのきらびやかな石造りの建物や石畳に使われた建材は、真下の地下から切り出して来たものなのだ。って事は、地上が発展すればする程地面はスッカスカになって、陥没の危険性が高まっていったのか。流石にそれはマズいという事で、大々的な補強工事が行なわれたようだが。
この本には、いつ、どのような労働環境で採石されていたのかとか、その跡地がどのように活用されて行ったかが、歴史を追ってこと細かに書かれている。
占領下時代には、ドイツ軍がここに防空壕施設を造営し、そのすぐ側にあった施設ではレジスタンスも活動していた。この跡地がTVで紹介されていた時は、地下にいる人達は誰もが平等な立場になるから、敵同士であっても地下で顔を合わせた時は、何も諍いは起きなかったと解説していた。ここはアジールだったのか!でも、この本によると、ドイツ軍は常に自分達の防空壕網内のみで活動していたので、すぐ近くにいる彼らの存在に気付かなかったらしい。どちらが真実なのかは知らないが、戦時下でも地下で争う事がなかったのは確かみたい。
勿論、地下は「パリのはらわた」とまで言われた場所だから、本書にはもっとグロい歴史もぬかりなく記されている。が、読後に抱いた感想はやっぱり「行ってみたい!」だった。
あ、基本的にパリのこういった採石場跡地は立入禁止だそうです。それでも潜る人はあとを絶たない。ついこないだ迄の軍艦島と一緒だ。軍艦島は雨風に晒されるからメンテナンスが大変だろうけど、地下はその辺そんなに心配しなくていいんだもんな。一番の脅威は「人的破壊」か。