この世はレースのようにやわらかい

音楽ネタから始まったのですが、最近は美術、はたまた手芸等、特に制限は設けず細々と続けています。

R.E.M. と ハワード・フィンスター

今回のテーマにした、画家が特別出演するPVというと、思い出すのがこれ。

このPVは、伝説の音楽番組「ポッパーズMTV」で初めて見ました。
司会のピーター・バラカンさんがこれをかける前に、「このPVに登場する変な庭の主は、ヴィデオにも出て来るハワード・フィンスターという牧師さんで、トーキング・ヘッズリトル・クリーチャーズのアルバムジャケットの絵も描いています。」という感じに懇切丁寧に教えてくれまして、それでこのおじいさんの存在を知ったわけなのですが、当時このPVを見た時は、ただただこの庭(Paradise Garden)にあるガラクタの山みたいな作品群に驚くしかありませんでした。決してNY等の大都会からは現れない世界。郊外型の薄ぼんやりした狂気。それはR.E.M.の音楽にも通じるものがあります。チープな劇仕立ての構成といい、ビル・ベリーの真っ白ブーツの時代錯誤(当時はね)ファッションといい、「これぞオルタナティヴ!」と、勝手な幻想を抱きながら見ていたものです。


※フィンスター氏が手がけたアルバムジャケット。

Reckoning

Reckoning


Little Creatures

Little Creatures


わたしがハワード・フィンスター氏の、芸術家としての位置付けがどの辺なのかという事を具体的に知ったのは、「パラレル・ヴィジョン展」によってアウトサイダー・アートが一気に認知されるようになった1990年代以降からです。でも、「アウトサイダー・アート」という言い方って、アカデミックな芸術を中心に据えた狭い見方で付けられた名称みたいで、個人的にはあんまり好きじゃないんですが。
フィンスター氏は、50歳を過ぎてから神の啓示を受け、突如芸術活動を始めた方のようです。遅いスタートでも、それまでの空白期間を埋めようとしたのか、過剰なまでの制作意欲が感じられます。まあこれだけの土地を思う存分使えただけでもかなりのアドヴァンテージなんですが。やっぱり広大な国土と豊富な物資を持つアメリカならではのアートだな。

Night Howard Finster Got Saved

Night Howard Finster Got Saved


そういえば、この当時のR.E.M.の記事に、マイケル・スタイプの部屋は、一度見たら忘れられないぐらい個性的といったような事が書いてあって、それを読んだ時は「見たい!」と思い、何気に写真を探していた時期もあったんですが見つからず、自然にその気持ちもフェイドアウトしていき、今に至る。という事を今更ながら思い出しました。でも別に今マイケル・スタイプの部屋を見たいとは思わないんですが。


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それでも当時この写真を見て、少ししか写っていない壁の雰囲気だけで、どんな部屋なのかを想像していたんだっけ。これが果たして自宅で撮られた写真なのかどうか未だに調べる事すらしていないのですが。
画像は今から20年前(!)のツアーパンフから。さすがに若いな。。。