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この世はレースのようにやわらかい

音楽ネタから始まったのですが、最近は美術、はたまた手芸等、特に制限は設けず細々と続けています。

ハービー・山口 写真展 ポートレイツ・オブ・ホープ

@川崎市市民ミュージアム

LONDON - chasing the dream「ロンドンーチェイシング・ザ・ドリーム(夢を追い求めて)」
ハービー・山口の写真展は、80年代にも見に行った記憶がある。お題はロンドンのミュージシャンのポートレートだった。今回もその辺が展示されていて、すごーくノスタルジックな気分になってしまった。


80年代当時、ハービーさんの写真は「音楽専科」という雑誌でお馴染みだった。写真によっては、展示作品を見ているうちに、それに付けられたキャプションまでよみがえって来たもんな。あな恐ろしや。
当時一世を風靡したニュー・ロマンティック系で着飾ってクラブにいた人達を、「深海で泳ぐ熱帯魚」のよう、と表現していたのが言い得て妙。あれはデカダンスだった。世紀末だった。と、大きく引き伸ばされたカラー写真を前にして、急にワケの分からん事を呟きそうになる。そうそう、このクラブで撮ったと思われる写真以外は全てモノクロだった。


今回初めて70年代半ばのロンドンの写真を見た。これは不思議と新鮮に映った。たった今80年代初頭のニューロマを「世紀末」と言ったばかりなのに訂正するけど、感覚的には80年代は1920年代に近かったと思う。で、70年代半ばは1910年代。若しくは世紀末。先週、三夜連続で放送していたNスペを見たんだけど、軍令部のOBが重い口を開き出したのが80年代に入ってからというのも、この時代を象徴しているのではないかと。70年代の写真に写り込まれていた老人達は、辛い戦争の記憶をまだ、生々しく内に留めていたのではないか。街の空気もその記憶の重さを自然と内包していたのではないか。当時はそんな事全然考えないまま生きてきたけど。


そういえば、ずっと前にネット上で見つけたこの写真も印象に残った。

George Plemperという人が撮った写真。プロではなく、教職に就いていた時に撮ったものだそうです。
ハービーさんが撮った時期と重なっている。大竹伸朗さんもこの時代を撮っていたっけ。


同潤会代官山アパートも懐かしい。私も何枚か写真を撮った。街なかなのに不気味なまでに静まり返った光景が思い出されるので、ハービーさんの写真を見ていても、何故かここが巨大な共同墓地に見えてきてしょうがなかった。写っている人達も何だか幻のようで。


一緒に展示されていたベタ焼き*1をじっくり見てみた。あの有名な化粧直しをする女性のポートレートは、たった2ショットしか撮らなかったんだ!とか、美術館で撮られた親子のシルエット写真は結構しつこく構図を探っていたのか。とか、作品のみ見ただけじゃ分からない作者の意気込みが分かって面白かった。


ミュージアムショップにいた時、遠くにいる本人の姿をチラッと見かけました。見に行った日はイベントのない日だったんだけど、ミュージアムショップの販売員さん曰く、「会場には毎日来ている。」のだそうです。もう少しゆっくり見ていたら展示室内でお会い出来たのかな。

*1:写真を勉強した事がないので正式名称を知らず。