この世はレースのようにやわらかい

音楽ネタから始まったのですが、最近は美術、はたまた手芸等、特に制限は設けず細々と続けています。

[http://www.latriniteparis.com/:title=Eglise de la Sainte-Trinite]

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お昼休み休憩のため、ギュスターヴ・モロー美術館を追い出されてしまった私達も、お腹が空いたという事で、食べ物屋さんを探しはじめる。
と、そこに教会が見えてきた。そういえばパリの教会の中には、格安でランチを出すサービスをしている所もあるという情報を事前に仕入れていたので、もしかしたらここもやっているかもと思い、近づいてみる。
すると、確かに教会の裏口に列が出来ていた。が、列に並んでいる方々を見ると、どちらかというと身なりの良くない割合の方が多く、こ、これはご奉仕活動の方ではないか...?と思い、しばらく遠巻きにしてこの様子を眺めていた。しかしよく周りを見てみると、我々のように遠巻きにして観察している人は他にもいて、その人はアタッシュケースを持ったサラリーマン風だったりもした。
で、列に並んでいた人達が皆中に入って行ったタイミングを見計らって、我々も、その列を仕切っていた係員のようなおじいさんの所に近づいてみる事にした。おじいさんは、慈愛に満ちた表情で我々を温かく招き入れてくれた。
教会の地下に下りていくと大広間につながり、そこで大勢の方々が昼食をとっていた。
メニューは、マカロニ入りの熱々野菜スープに、バケット一欠片。バター、チーズにフルーツヨーグルト。テーブルには水の入ったピッチャーも用意されていた。それと、食後のコーヒー。
スープは、使い捨ての容器に入っていたにも関わらず、なかなか冷めないぐらい熱かった。お代わりのサービスまであったが、これだけで十分にお腹が満たされる量だった。
これだけの量を食して、只。スマン。バチが当たると思ったのでそこを出た後はすかさず表に回って教会に入り、幾らかの寄付をしてきた。一歩外に出ればきらびやかな街並みなので、教会地下のあの雰囲気とのギャップが激しく、しばらくボーッとしてしまった。
それにしても教会のこういった慈善活動って、何ともいえぬ重みがある。昼食を食べに来た人の中にはホームレスらしき人もいるのだが、彼らのためにクロークまで設置されていた。友人が、「もしかしたら佐伯祐三や売れなかった頃のフジタも、こういう所でお昼を食べてたのかもしれないね。。。」とつぶやいたのを聞いて、それまで遠い遠い存在に思えていた彼らが、急に身近に感じられるようになったりもして。


なんか、「旅の恥はかき捨て」を、地で行った感じ。こんなの、『パリ格安ランチ情報』として提供するなんて、とても出来ないわ。本当の『教会格安ランチ情報』は、ネットで探してみてね。

写真は、ご奉仕を受けたサント・トリニテ教会の内部。とても美しい教会でした。